CONAN

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「ねぇ、工藤くん、蘭が暗証ロックかけるとしたらなんだと思う?」

放課後、居眠りした二時間目の数学のノートに蘭から借りた綺麗で見やすいノートから写していた。自分の机で作業していて園子とは廊下側と窓側で席が離れているのに気がつけば隣で園子が携帯を弄っていた。携帯は園子の人柄が窺える紫の色の携帯じゃなく蘭の白いメタリックラメの付いた携帯だった。蘭は今部活動中だ。此処には居ない。

「なんでお前が蘭の携帯なんかもってんだよ」
まさか蘭が番号を忘れて園子に解読を頼むわけはないと脳内で思う。
だって自分と言う探偵と言う彼氏がいる。
少々自分の彼女は抜けていて忘れっぽいので恐らくは園子にまんまと携帯を盗まれて取り替えそうと思ったが部活時間で時間切れになったか、上手い具合に園子に携帯を盗まれてまだ気づいていないのどちらか。
そうなると番号の予測を聞いてきた園子の腹の中で考えているのは良いことではない。恐らく面白がっているのだ。
「蘭のセクシー画像送りつけてやったんだけど、私の携帯な保存されてるほうを消しちゃったのよ。せっかく工藤くんに見せようと思ったんだけど、しょうがないから蘭の携帯からやろうとしてんのよ。」
つまり園子の携帯で撮った蘭の如何わしいかは別として人に見せるのはどうかという画像を、園子は面白がって新一に見せるの前提で蘭に送り付けたが、誤って自分の携帯に保存されている画像を消去してしまったらしい。そういうわけで、画像が残っている蘭の携帯から新一に見せようと思ったが、こういうことを見越してなのか何なのか、一応保険のためか端末認証番号によるセキュリティロックをかけているらしい。プライバシーというか個人情報保護というか新一自身自分の携帯にはきっちりとロックをかけているから別に妖しい事でもなくたいていの人はやっているだろう。
園子としてはどうしても新一に如何わしい写真を見せたいようでそういった番号の解読には適役で蘭についてよく知る幼馴染みで探偵の新一に聞いてきたらしい。
「新一くんもみたいでしょ?蘭のセクシー画像」
「バーロ!んなもん見たくねーよ。」
「あらそう?じゃあ新聞部にでもリークしようかしら。結構すごいのよ?蘭の…とここからはプライバシーになるからね」
まだ教室は部活前の生徒や掃除中の生徒や友人を待つ生徒や特に予定もなく暇つぶしでクラスメイトと喋る生徒たちが一杯で、日中の教室ほどではないが内緒話をするには向いていない。目線だけ泳がすと高校生探偵として目立つ新一とお嬢様で交友の幅が広く目立つ園子にちらちらと送る意識と視線の数を知る。
園子も新一と同様周りに気を配ると、ね?と蘭の写真が何なのか新一に教えるのを止めた。正直なところ、新一と園子の類稀なる人間に注目する奴らも少なくとも居るだろうが大半は会話に上げられた人間の蘭だろう。蘭の人柄については幼馴染であり彼氏である新一が殆どの人達に好印象を与えるのは当然だと保証する。成績優秀で品行方正天真爛漫…四字熟語で揃えればそんなもの、お人よしで泣き虫で他人の為に泣いて背負い込む天使の様な性格の蘭は、男女問わず友情慕情問わず人気があって話題性も高い為に、蘭の如何わしい写真のないように意識を寄せたのはそういう理由があるからだ、…ただ内容が内容だけに新一と園子の会話に聞き耳を立てたのは蘭に少しでも気のある男だけだろう。
忌々しい男達の気配に新一は殺意に近い雰囲気で圧倒しつつ、再び園子に注意を戻した。
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