CONAN

□Valentineday 16years old
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「今年は蘭、あんたどうすんの?」

例によって園子に問われた。
今は昼休み。授業と打って変わって校内は賑やかだ。

二つ机をくっつけて向かい合い二人きりで此処の弁当を突いていた。
他愛ない話をしていた。今度のテストがどうだの、クラスのあの男子がどうだの、何組のなんという子が何部の誰に告白しただの。
大体平らげた所で、いきなり園子が話題転換をしたのだった。


問われた蘭は、目を丸くして瞬きを一つした。
それから目線を天井の方へ移して、考えた後答えた。

「うーん、何時も通りよ。クラスの女子の分と、園子の分と、部活の皆の分と、お父さんとお母さんとあと新一の分かな?」

「友達の分多いの大変だよね。…それだけ?」
「そうよ?何時も通りって言ったじゃない」
他少、人数の変動はあるが、去年もその前も同じような物だ。

「誰も野郎にはあげないの?」
「や、野郎?」
「そう、男の子に、あげないの?」

つまり園子が言いたいのは友チョコと義理チョコではない、“本命チョコ”を聞いていた。
恋愛感情を入れたチョコがあるのかどうか。
「…てかやっぱりさ、蘭、工藤君が本命なんだよね?」
「え?! ないないない、新一を?ないないない…きっぱりとした義理です!」
また蘭はその円く大きな目を丸くして、首を大きく横に振った。否定、というよりはぐらかしているように園子には見えた。

「じゃあ本命チョコ、は蘭の作るチョコの中にはないんだ?」
「ないわよ、そう言う人、いないもの」
「なーんだ、蘭が誰に作るかってみんな注目してたのに。」
園子は呆れ顔で溜息を吐いた。
蘭が恥ずかしがって嘘をついているのは見え見えだが、事実、蘭が誰に本命を上げるのか皆の注目を浴びているのは確か。それは蘭がもてると言う理由と、蘭の身辺を知っている者は大半その相手が“工藤新一”であると見当をつけているからであった。

「じゃあ蘭、明後日デパートに一緒に材料快に行きましょうよ」
「いいよ、その日部活ないし」

園子は鈍感で疎い親友を横目に、『ご愁傷さま』と先程から視線を投げてくる後ろ方向へとうっすら笑みを向けた。
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