NOVAL
□ウチの彼氏は
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ウチ、遠山和葉。
商人の都市、大阪寝屋川に住み、改方学園に通う女子高生や。
特技は合気道二段。
オカンはふつうの専業主婦。
オトンは大阪府警の刑事部長。
まあどこぞにあるような公務員の家族やねん。
そんなウチの特別。
幼なじみで、彼氏の服部平次。
ウチと同じにオトンが警察(平次のオトンは大阪府警の長やけど)でオカンは専業主婦。
同い年で同じ学校で、変わらないんやけど、特別なんは平次のスキルにある。
聞いたこと在らへん?
服部平次と言えば
大阪、西と言えばや。
そう、西の高校生探偵服部平次や。
平次の親友、ウチの親友の彼氏である東の高校生探偵工藤新一に比べたら、知名度は薄いかもわからんけど、西の方じゃ名の知れた探偵や。
平次は探偵の仕事をほんまは己の夢のためにやってるんやけど、剣道やっとる体格のせいか、美男美女の両親を受け継いどるせいか、一言で言い切ってかっこええ。
頭ええ、運動神経ええ、かっこええときたら、モテるのは当たり前。
探偵仕事はまず顔を覚えてもらうんが先や、とかゆう平次は新聞や雑誌の露出がよーけあって、顔が知られとる。せやから街を歩いとると、「あ、服部君やないの!」って女の子たちに呼び止められて話しかけられて群がられて。
顔がわかるっちゅう事は、平次の好きなことがたくさんの人に認められてる事になるし、うちも嬉しいんやけど、やっぱり他の女にチヤホヤされとる平次を見るのは嫌や。勘弁や。
そんなこと平次は知らずに女に囲まれてまんざらでもないようやし…。
平次は他の女からのプレゼントは絶対受け取らんから、浮気はないと思てるけど、時たまほんまにウチのこと好きなんか不安になってまう。
ほんまは好きやないけど、幼なじみのウチが可哀想やから同情しとるとか
ほんまに好きな女は手が届きそうにないから簡単に落ちるウチで我慢しとるとか
昔馴染みのウチのオトンと平次のオトンに強制されて嫌々付き合おとるとか
よく友達の言うほんまの恋をする前の「お試し期間中の女」やとか
…不安はつきることがない。
一度「ほんまにウチのこと好き?」と聞いたことあるけど「んなわけあるかい、あほんだら」と小説越しに怒られたし、友達から「重い女の台詞やからもう言ったらあかん」らしいので止めた。
平次のオカンに「あの子に浮気なんちゅう器用な真似ができるわけあらへん。してしもうたら勘当もんやで。」と笑って言うとったからできひんらしいけど、でもたまにウチに行き先告げずにひとりでどっか行ってまう時がある。
「どこいくん?」で尋ねても「んな野暮なこと聞くなや」って返すし、上の空多いし、なんやウチに隠し事あるみたいやし…
絶対教えてくれへんのや、可笑しいと思わへん?
聞きたいけど聞けないし。
ああもう、どうしたらええんやろか…