NOVAL

□Boy's talk
1ページ/9ページ

痛む全身を擦りながらとぼとぼと
歩く男子の集団が、夜9時のカップル達の
目を引いていた。
どこか生気を失って何もかも面倒臭そうな
気だるさを醸し出す彼らの雰囲気を
読み取れば、可哀そうだと同情の目線が
彼らを追う。

気だるさを全員から感じるのは、
最愛の彼女から追い返されたから。

こうして普通に歩いているが
それぞれ一端に名前の売れている面々だ。
テレビをつければその名前が聞こえ
新聞をひらけばその名前が目に入る。
そんな彼らを慕う女性たちは数知れず。
女性達がこんな体たらくな惨状を聞いたら
ファンであることをすぐに辞めるだろう。

最愛の彼女達から支持された通りに
彼らは一直線に工藤邸へと向かった。

平「ったく和葉のやつしこたま
  殴りおって。まだ頬が痛いわ。」
快「しゃーねえだろ、不法侵入した
  俺らが悪いんだからよ」
探「そうです、元はと言えばくしゃみをした
  工藤君と工藤君を殴って物音をたてた
  君に責任があるんですから」
新「提案したのはお前だけどな。
  それに理性的な発言もお粗末な顔に
  言われてもちっとも怖わかねえよ。」
探「そういう君も
  鏡を見たほうがいいみたいですよ。」
快「全員鏡を見たほうがいいな、きっと」
平「そうやな…」

普通の成人男性の歩く速度であれば
毛利探偵事務所から、
5分足らずで到着するはずの工藤邸。
けれど先刻の今で何時もの数倍も遅い速度。
なんと15分もかかってしまった。
やっと工藤邸に着きリビングに皆入ると
それぞれ思い思いの場所に疲れ切った体と
やる気のない感情を一緒くたに
身をほおり投げた。

乱雑に新一がキッチンからスナック菓子と
ジュースをお盆に載せローテーブルに置く。
スナック菓子を平次が一つつまんだ。

新平快探「は〜〜」

平「なんや工藤、重たい溜息なんか
  折角のコーラが不味くなるやろ
  止めや!」
新「てめえだってしてたじゃねえか!」
平「してないわ、ボケ!」
新「ぬわんだとぉ?」
探「止めてくださいよ、二人とも」
快「今全員で溜息ついたからな」
新「畜生、いらいらしちまう」
平「ほんまにやる気でえへん…」
新「右に同じく…」
探「では、今日はお開きにして
  客室を借りるとしましょうか」
快「そおすっか。」
平「そおやな、工藤、
  ところで部屋数いくつあるんや?」
新「なに勝手なこと言ってんだよ!?
  ベッドのある部屋は3つしか…」
平「ほんなら俺が工藤の部屋で寝て
  2人はあまりの部屋や。
  工藤はこのソファで寝るんやで。」
新「なんでだよ!俺の家だぞ!」
快「だからだよ。」
新「へ?」
探「客人を優先するのが紳士という
  ものでしょう、東の高校生探偵さん?」
平「ということや工藤!
  文句言わんとソファで早う寝や!」
快「じゃあな探偵!」
新「もう二度と泊めねえ…」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ