■長編
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「何だ…これ?」
静雄は自分の下駄箱を開けると、ピンク色の封筒が入っていた。
一度下駄箱を閉め場所を確認するが、自分の下駄箱に間違いない。
おずおずとその封筒を取り、封を開ける。
手紙のようだが、一瞬誰か違う相手に渡すはずだったのを間違えて自分の場所に入れてしまったのかもという考えが浮かぶが、封筒にはきちんと『平和島君へ』と可愛らしい字で書かれていた。
そのまま手紙を読んでみると、これは告白なのだとすぐに理解できた。
一番最後には学年とクラス、名前が書かれている。
学年は同じだが、違うクラスだ。
顔は何となく覚えているが、あまり印象にない。
「何してんの?」
そんな事を考えている間に、先程置いてきた臨也と新羅が来た。
臨也の声で静雄はすぐさま手紙を鞄にしまう。
「今なんか隠したでしょ」
「別に隠してねぇよ」
「嘘だね、だってシズちゃん焦ってるじゃない」
「いちいちうっせぇよ」
そんな言い合いをしていると新羅が割り込んできた。
「さっさと教室に行こう!遅刻にされるよ」
すぐに静雄と新羅は走りだすが、臨也だけは焦るような態度もせず、ゆっくりと歩いていた。
「そういえば下駄箱で一体何を隠したの?」
今は教室。
臨也は違うクラスな為に今なら先程隠してしまった手紙を出しても平気だ。
「コレが下駄箱に入ってたんだよ」
渡すと、新羅は迷うことなく手紙を読み始めた。
「ラブレターだね!」
「ああ。つっても、相手の顔よく覚えてないんだよな」
「えぇぇ!!この子、僕らの学年で一番可愛いって言われてる子だよ?知らなかったの?!」
「んなの知らねぇよ」
え〜、と言いながらもすぐに顔をにやけ始め、語り始める。
「まぁ、全てにおいてセルティの方が上だけどさ!!!」
「……どうすっかな…」
「まさかのスルー?!まぁ、僕個人の意見を言えば、オッケーしちゃった方がいいんじゃない?」
確かに新羅の言うとおりかもしれないが、今まで顔もあまり知らなかった相手と付き合うのは……と、静雄は悩む。
それに、間違って自分のこの怪物じみた力でその子に怪我を負わせてしまう可能性もある。
「怪我させちまうかもしれないだろ」
「それくらいの事は彼女もわかってるよ」
だから一度付き合ってみたら?と、新羅は笑顔でいう。