*Title 2*

□43.クールビューティー
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いつも格好良くスーツを着こなし、仕事も速くてスマートで女子社員からの支持率ナンバーワンの高木課長。
眉目秀麗、クールビューティーなんて社内じゃ言われている上司だが、それは表の顔。
恋人である俺の前ではそんなことは全くなくてむしろ真逆。
…まぁ、俺しか知らない顔があるというところは独占欲を満たされてるし、そんな可愛いところが余計に夢中にさせられるんだけどね。


「…直人さん、朝飯出来ましたから、そろそろ起きてください」

「ん……ごはん…たべる……」


恋人になって初めて知ったが、この人は朝に滅法弱い。
仕事に行く日は早めにアラームをかけたり、熱いコーヒーを飲んだりしてどうにかやり過ごしているらしいが、休みの日は全然起きてこない。
昨日の夜、少し致しすぎてしまったという反省もないことこはないが、そうでなくてもなかなか起きれないのだ。


「…ほら、起きて下さい?外もいい天気ですし、起きないともったいないですよ」

「んー……もー、起きてる……」


小さく声は返ってくるものの、毛布にくるまったまま、微動だにしない。
折角気合いを入れて作った朝ご飯だが温め直して食べることになりそうだ、と手早くラップをかけてベッドに戻る。


「起きてこないなら、悪戯、しちゃいますよ?」

「…………れば」

「…えっ?」

「………すれば、いいだろ」


枕に頭を押し付けたまま、不明瞭ではあるがそれがお誘いの言葉であることは赤く染まった耳を見れば一目瞭然で。


「…そんなこと言われたら可愛すぎて、俺、もたないですよ」


もちろん、こんな魅力的な誘惑を断るわけもなくそのままベッドに出戻ることにした。
用意した朝食はブランチか、もしくは昼食になりそうだ。


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