*Title 2*
□44.降り頻る、雪。
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「あ、雪っ……」
寒さが厳しくなってきた冬のある朝。
カーテンを開くと外の世界が一面、銀世界に変わっていた。
「ねぇ、テツ、起きて!雪だよ、雪っ」
頭まで毛布を被ったテツを揺さぶり起こすと、窓を開けてベランダに飛び出す。
「さむっ……うわ、ヒロ、何窓開けてんの…」
うきうきする僕の気持ちとは真逆に、テツはちらっとこちらを見遣るとまたすっぽりと毛布を被ってしまった。
「えー、テツは雪、好きじゃないの?」
ベランダに飛び出したものの、白くなる息に流石にパジャマのままでは寒いかととりあえず部屋に戻る。
手摺に積もった雪を一掴み手に取るとそのまま布団から少しでたテツの足の裏にそっと乗せた。
「っっ………!?何っ、冷たっ!!何してんの!?!?」
流石に目を覚ます気になったらしく布団から飛び出したテツを見てつい笑いが漏れる。
「ねぇ、すごい雪だよ!アパートの前雪かきしなきゃだねー」
言いながら、スコップなんて家に置いてたっけ?と思い返す。
テツと二人で暮らしはじめて初めての冬。
「んへへっ……」
「…ヒロ、何にやにやしてるんだよ」
「いや、なんていうか…テツと一緒に住んでて初めてのことがいっぱいで嬉しいなぁ、って」
幼馴染みでずーっと一緒だったけれど、恋人になってから改めてテツの初めてになれるのがすごく嬉しかったりする。
「幸せ、だなーなんて思っちゃった」
「はぁー…全く、なんでヒロはいつもそーやって……」
僕の恋人は深いため息をつくと僕の腕をグッと引きベッドへと連れ戻した。