*Title 2*
□45.人肌の幸せ
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朝目が覚めて、隣に暖かい君の温もりと寝息が聞こえるのがすごく幸せだったりする。
…悔しいから絶対に教えてあげないけど。
『人肌の幸せ』
「……かっ……あすか……あーすーかっ!」
ある日曜日の朝、微睡む意識の中なんだかコーヒーの良い匂いがする、と気がついたと同時に名前を呼ばれて目が覚める。
さっきまで隣にいたと思っていた恋人は随分前に起きていたらしく、手を伸ばすとシーツは冷たかった。
きっと彼は自分の好きなチーズがたっぷり乗ったトーストと砂糖とミルク多目のカフェオレを用意してくれているに違いない。
こんなに尽くしてくれる恋人がいるなんて愛されてる、とは思うけれど、貪欲な俺はもっともっと欲しくなってしまう。
「あーすかっ!おはよ、そろそろ朝御飯にする…?」
部屋を覗きに来た藤岡を手招きしてベッドサイドまで引き寄せる。
「ん?何々、どーしたの、って…ちょっ……」
そのまま藤岡の腕を引き、ベッドの中に引きずり込んだ。
体格差が有りすぎて、二人してベッドに倒れ込むみたいになったけど。
「朝ごはん、作ってくれてありがと…でも今日はもうちょっとこーしてたい……」
言いながら、何恥ずかしいこと言っちゃってるんだ、と気がついて顔を藤岡の胸に埋めた。
「えっ、ちょ、あすか、何それちょー可愛いんですけど!!!」
びっくりした様子を見せながらも、藤岡はそのままぎゅっと抱き締めて髪を撫でてくれた。
「……ご飯は後で温めればいいし、しばらくこーしてよっか?」
飛鳥が甘えてくるなんて、レアすぎるもんね!なんて茶化されながらも触れる指が優しくてくすぐったい。
人の体温と幸せな気分に包まれて、なんだか眠くなって来てしまう。