*Title 2*

□47.王様の命令
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「えっ、ルームシェア!?俺となっちゃんが!?!?」


久々に再会した幼馴染みに告白して、半ば無理矢理オッケーをもらったものの、そんなことがあって同じ部屋で寝るなんて平常心でなんていられず寝不足の朝。
目が覚めると床に敷いてあった布団はもう畳まれていてなっちゃんの姿はなかった。
眠い目を擦りながらダイニングへ降りていくと上機嫌で朝食の支度をする母からルームシェアの件を告げられた。


「そうそう、昨日春子さんと電話してたらね夏樹ちゃんの大学と翔の大学の最寄り駅が近いね、って話になって。それなら一緒に住んじゃえばいいじゃない!ってなったのよ」


夏樹ちゃんが一緒に住んでくれたら安心だわー、なんて母さんは言っているけれど。
いいじゃない、と世間話の様な物言いだがこの二人が言い出したことはほぼ確実に実行される。
両家の両親の力関係はそれぞれもちろん母親の方が強く、説得力や行動力も兼ね備えているから恐ろしい。


「一緒に住むって言ったって…なっちゃんがいいかどうか」


先に朝食を食べ始めていたなっちゃんに話を振ると噛りかけのトーストを慌てて飲み込んで口を開く。


「…俺はカケルが一緒に住んでくれたら楽しそうだし心強いからいいかな、って」


昨日の話を覚えているのかいないのか、なっちゃんはそんな呑気なことを口にする。
付き合って一緒に住むってそれは最早同棲ではないか。
なっちゃんに変な虫が寄り付かないようにできるけれど、なにより自分の気持ちの整理が出来ていない。
理性的な生活を送ることができるんだろうか…と立ったまま悶々と考えていると早く朝食を食べるよう促される。
喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか、複雑な気持ちのまま冷めかけたコーヒーを口にした。




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