メインストーリー
□優しいKissを… vol.2
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……誰かが、私の髪を撫でてる……
優しくて、暖かい手…。
「そらさん…」
「あ、おはよ。紗絢ちゃん」
ゆっくりと目を開けると、ベッドの端に頬杖ついて、優しく笑うそらさんがいた。
「せっかく、起こさないように、キスするの我慢してたのにな」
そう言って、優しくキスをしてくれる。
私は、思わず布団で顔を隠す。
そして昨夜の事をぼんやりと思い出す。
(私、酔っぱらって、そらさんに送ってもらったんだ。タクシーに乗ったらすごく眠くなって…部屋についたとこまでは、なんとなく記憶があるような…)
「そらさん…ずっと、いてくれたんですか?」
「ん?」
布団から顔を出すと、そらさんはベッドの縁に腰かける。
「だぁって、紗絢ちゃんてば帰してくれないんだモン。
酔うと積極的なんだね」
「えええっ?!」
私は布団を、はね除けて起き上がった。
「わた…わた…私…な…何か…?」
「ぷっ、アハハハ。冗談だよ。覚えてないの?
帰ってすぐベッドに直行して、そのまま寝ちゃったじゃん。何もする暇なかったって。オレも眠くなって、一緒に寝ちゃったんだけどね」
(そう言えば、私、昨日の格好
のまんまだ)
「ん?何もする暇…って…」
「紗絢ちゃん、顔真っ赤だよ。何想像してんの?」
「!何も想像してません!」
枕を掴んで、そらさんにぶつけるフリをすると、そらさんは笑いながら、私の両手をそっと掴んで、枕を降ろさせた。
「ゴメンゴメン。それよりさ、今日、学校休みだよね」
「はい。そらさんは?もしかして、そらさんも?」
「残念、午後から仕事なんだよね」
ちょっと、俯いてため息をつくと、すぐ顔を上げる。
「でも、昼までは一緒に居れるからさ、まだ7時だし、朝ご飯食べてどっか行こうか。
今、ご飯炊いてるから」
「ええっ?そらさんが?」
「何?その反応!オレだってメシくらい炊けるっつーの!」
ちょっとほっぺを膨らませて、横を向く。
(かわいいなぁー)
私は気付かれないように、クスッと笑った。
「じゃあ、味噌汁と何か作りますね」
そう言ってベッドから降りようとした時、
「コラ!今、笑ったっしょ」
「きゃっ!」
そらさんに背中から、抱きしめられてしまった。