メインストーリー
□優しいkissを… vol.13
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明日のデートがそらさんの仕事の都合で中止になり、その代わりにって事で、今夜はそらさんの家で一緒にご飯を食べる事になった。
大学まで迎えに来てくれた後、一緒に買い物に行って、そらさんリクエストの和風ハンバーグを作っているところ。
「紗絢ちゃん、玉ネギ、もうこれくらいでいい?目にしみて涙止まらないんだけど」
「わっ、大丈夫ですか?」
今の時期甘い、新玉ネギをすりおろしてくれているそらさんの顔を覗くと、いきなりキスされてしまった。
「へへっ、うっそ〜。新玉ネギって、そんなにしみないから大丈夫!で、次は、何すればいい?」
「もう!…じゃあ、お皿お願いします。ハンバーグもう出来上がりますから」
「了解」
ドキドキしてる私の気持ちを余所に、テーブルの上に、お皿を並べるそらさん。
私は、その皿の上に、焼きたてのハンバーグを、付け合わせと共に盛り付ける。
そらさんがスープとサラダも、つぎ分けてくれる間に、私はさっきすりおろしてもらった玉ねぎで、和風ソースを作ってハンバーグにかけた。
「それじゃ、いただきま〜す」
「いただきます」
テーブルに向かい合って座り、箸を手に取ろうとして、ふと、気づく。
見た事ない、ピンク色の箸。
「あれ?この箸、いつものと違う」
「うん。紗絢ちゃん用」
「え?」
「いつも、お客さん用じゃ嫌でしょ?」
そう。いつも私が使ってたのは、5膳1セットとかの お客さん用。
って言うか、そらさんちには、その箸しかなかった筈。
「買ってくれたんですか?」
「そ。気に入った?」
「はい!かわいいですね」
「ほら、オレのとお揃い」
そう言って、差し出したそらさんの手には、私と色違いの水色の箸。
「今度、色々買いに行こうよ。茶碗とか、カップとか」
そらさんと付き合い初めて、この部屋に来るようになって、初め驚いた事。
こざっぱりしてるって言うか、物があんまり無いんだよね。
調理器具にしても、鍋とフライパンがひとつずつ。それとケトルがあるくらいで、今日使ったすりおろし器も、新たに買った物。
あまり、自炊する暇もないんだろうけど、食器にしても必要最低限の物しか置いてなかった。