メインストーリー
□優しいKissを… vol.1
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今日は、サークル(演劇部)の 飲み会。
居酒屋で飲んだ後、私は みどりと小杉部長と、お馴染みのBARで 二次会。
ここは、とある雑居ビルの一角で、カウンターだけの小さな店だけど、雰囲気が気に入ってて(おまけにリーズナブル)、そらさんとも何度か来た事がある。
「そう言えば、今日は女装マニアの彼氏は?」
ふいに 小杉部長が聞いてきた。
(いい加減、その呼び方は……)
と、思いつつ、
「そらさんなら、今日はSPのメンバーと飲み会だそうです」
そう答えると、今度はみどりが、
「ふうん…紗絢もホントは、そっちに行きたかったりして?」
そう言って、肩をぶつけてきた。
「そんな事ないって!」
慌てて 否定する。
(実際、誘われたんだけど……あのメンバーに私だけじゃ、からかわれるだけだもんネ)
「でもさ…」
みどりが、カラになった私のグラスを指差しながら、メニューを差し出して、
「そらさんて、モテそうだよね。 女の子に優しいし」
私の顔を、覗き込む。
「う……ん」
そうなんだよね。そらさんの知り合い、可愛いいコが多くって、私なんかのドコがいいんだろう?って 思っちゃう。
「あ、ゴメン、変な
事言っちゃった。心配ないよ!そらさん、紗絢の事、すっごく好きなの見ててわかるもん」
みどりは、私が不安に思ってるのに気付いたように 笑って言った。
その気持ちが嬉しくて、
「うん、私も…信じてるから」
笑い返すと、おかわりしたカクテルに口をつける。
『♪〜』
携帯がなってる。もしかして、そらさん?
…と、思ったら
「もしもし、海司?」
「あ、紗絢か?」
「どうしたの?今日は飲み会なんじゃ…まさか!また、そらさん酔っぱらって…」
「いや、そうじゃなくって…って事は、そらさん一緒じゃないのか?」
「え……?」
「飲み始めてすぐ、そらさんの携帯に電話あって、急いで帰ったから、お前と一緒かと……その後、携帯も繋がんねーし」
「何か、急ぎの用なの?」
「んー…明日でもいいんだけど…また連絡してみるよ。じゃあな!」
そう言って切れてしまった。
(誰…?)
「どうかした?」
携帯を手にしたまま、黙ってる私に、みどりが聞いてくる。
「ううん。なんでもない。」
私は携帯を閉じると、グラスに手をかける。