メインストーリー
□優しいKissを… vol.1
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「だって、女の子の相談なんて、他の方には出来ないじゃないっスか。やっぱ、そらさんしかいないと思って…」
(へ?…)
真壁さんは少し恥ずかしそうに言った。
(なんだ、そうだったんだ…)
私は、ほっとして、体の力が抜けたような感じがした。
それと同時に、そらさんの事を心のどこかで疑っていた自分が、嫌になった。
「でも、聞いてくださいよ」
真壁さんが、身を乗り出して、
「話があるって言ったのボクの方なのに、そらさん、紗絢さんの話ばっかりで……メシまでオゴらされたのに…」
ちょっと、ふてくされてブツブツ言ってる。
「だって、しょうがないじゃん? オレ、仕事の時以外は、紗絢ちゃんの事しか頭にない…って、……紗絢ちゃん? 大丈夫?」
「ふぁい?」
あれ?変な声出ちゃった。
「目が…すわってるよ」
そらさん、びっくりした顔してる。
「らいじょうぶれす…」
あれれ?ロレツがまわんない?
「ほらぁ、あんな飲み方するから!」
みどりが、私のグラスを遠ざける。
「え?…わらし、酔ってらんかいない…」
「紗絢ちゃん、今日はもう帰った方がいいわ」
と小
杉部長… 。
「オレ、送ってくよ」
そらさんがそう言って立ち上がる。
「らいじょうぶ……ひろりれ…帰れまふ」
バッグを手に取り、椅子から降りようとしてよろけた私を、そらさんが、さっと受け止めてくれる。
「ホラ、大丈夫じゃないって!送ってくから帰ろ?」
私は、そらさんに抱き抱えられるようにして、店を出た。