メインストーリー
□優しいKissを… vol.2
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「俺、連絡しろって言われただけなんで、後は班長にちゃんと言って下さいよ!」
ブツッ。
「紗絢ちゃん!」
「えっ?! は、はいっ!」
携帯を置いたそらさんが、キッチンに行こうとしてた私を呼び止める。
(な、なんか恥ずかしくて顔見れない)
「お正月、総理と会うよね」
「えっ?あ、はい」
予想外の質問に、振り返る。
「あんまり時間なさそうだけど、私の為に休み取ってくれるって。おばあちゃん所に行って、お母さんのお仏壇にお参りしたいって言ってました」
「そっか」
そらさんは優しく笑うと、ポンと私の頭に手を乗せた。
「それが、どうかしたんですか?」
「んー?ちょっとね。」
ごまかすように笑うと、くるっと私の体を回して背中を押すそらさん。
「さっ、ご飯炊けたみたいだよ。紗絢ちゃんの味噌汁飲みたいなぁ」
キッチンから、炊きたてのご飯の香りが漂ってきた。
私はお鍋で、お湯を沸かす。
「うわっ!」
炊飯器を開けた そらさんが、しゃもじを手に固まってる。
「…ゴメン。水加減、間違ったみたい」
炊飯器を覗くと、見るからに水が多過ぎて、お粥みたいなご飯がキラキラ輝いていた。
「
私、二日酔いっぽいから、軟らかいご飯がいいです」
落ち込んでるそらさんの手から、しゃもじを受け取ると、ご飯をかき混ぜた。
「紗絢ちゃん…ゴメンね。オレも紗絢ちゃんの為に、お正月休み取るからね」
「ホントですか?」
「うん!一緒に初詣行きたいな!」
「私も、行きたいです」
「紗絢ちゃんは、着物とか着ないの?」
「え? うーん、着物は…」
「似合いそうだけどな」
(そらさん、着物好きなのかな……。
いらないって言ったのに、成人式に無理して作ってくれた振り袖が、おばあちゃんの所にあるにはあるんだけど…)
私は、味噌汁を作りながら、テーブルで頬杖ついて私を優しく見つめるそらさんと、お正月の予定を色々と話した。
とても幸せな、朝のひととき…。
‐おわり‐