メインストーリー
□優しいkissを… vol.4
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その時、後ろから肩を叩かれた。
「そらさん?」
振り向くと、知らない若い二人の男の人が立っていた。
「かーのじょ、一人?」
反対を向いて、そらさんを探しに行こうとしたら、突然、腕を掴まれる。
「ちょっとぉ、逃げなくてもいいじゃん。話してるだけなんだから」
「そうそう、その着物、カワイイよねぇ」
「は…離して下さい」
掴まれた腕を、振り払おうとした時、
「なになにぃ?そんなにカワイイ子がいるのぉ?」
二人の間から出てきたのは…。
「…!そらさん…」
「うわっ。マジで、超カワイイんだけど!」
二人を押し退けて、間に入り込むと、
「でも、残念でしたぁ。この子オレの彼女なんだよね。ね?」
そう言ってウィンクすると、私の腕を掴まえていた男の人の手を掴む。
いつもの笑顔のそらさんに笑いかけられて、今までこらえていた思いが、涙と一緒に一気に溢れだす。
その瞬間、そらさんの表情が変わった。
そして、男の人を睨み付けると、
「てめぇ、オレの彼女、泣かせやがって!覚悟出来てんだろうなっ!」
そう言いながら、腕をひねり上げる。
「いててっ、何すんだよ!」
「こうすんだよっ!」
そして、そのまま片手で相手を突飛ばした。
その人は、もう1人の人に手を借りて立ち上がると、ぶつぶつ言いながら、人ごみの中に消えて行った。
私は、涙が止まらなくて、子供のように声を上げて泣いた。
そらさんは、周りの視線から庇うように私の肩を抱くと、ひと気の少ない駅の片隅にある、自動販売機の横のベンチに座らせる。
「はい、もう大丈夫だからね」
温かい缶コーヒーを差し出すと、私の前に座り込んで、顔を見上げる。
「やっぱり、オレが迎えに行けばよかったね。ゴメン」
「私の…方こそ、…ごめ…んなさい。…遅くなって」
私は、強く首を横に振りながら、涙混じりに、それだけ言うのがやっとだった。
そらさんは私の涙を抜いながら、
「オレさ、待ってる間、紗絢ちゃんに早く逢いたくて、何度も電話しようとしたけど、焦らせるだけだと思って、我慢してたんだ。だから、これからは遠慮なんてしないでよ?」
少し怒ったような顔をする。
「私も…早く、逢いたかった」
「ホントに?」