メインストーリー
□優しいkissを… vol.7
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待ち合わせの店に行くと、みどりが私に気付いて、手を振る。
「ゴメーン、待った?」
「今来たとこ。ランチどれにする?」
向かい合わせの席に据わると、おすすめランチのメニューを渡される。
「この中のだったら、好きなの頼んでいいよ。せっかくの誕生日に彼氏に相手にされない、かわいそ〜な親友のためにおごるんだから」
「そんなに言うホド高くないよね、ここのランチ」
「いいから、いいから。どれにする?」
私達はデザート、コーヒー付きのおすすめランチを2つ頼んだ。
日曜日のお昼。
駅前の店は、カップルや友達同士の客で、すぐに満席になった。
仲良さそうに、会話してるカップルを見ると、そらさんを思い出して、羨ましくなる。
「そらさんとは、いつ会うの?」
運ばれてきた、サラダを食べながら、みどりが問いかけた。
「さあ…仕事いつ終わるか分からないし」
「さあ…って、誕生日だよ?プレゼントあるでしょ?」
「そらさん、覚えてるかわからないよ。随分前に1度聞かれただけだし…」
「えーっ?彼女の誕生日忘れるなんて、ありえなくない!?」
「声、大きいって!」
思わず、辺りを見回す。
「ホントにつきあってるの?」
「そう…だよ?なんで?」
「だって、紗絢今だに敬語使ってない?“さん”づけだし」
「それは…最初がそうだったから、なんとなくそのまま…」
(それに…“さん”づけじゃない時だって…)
「何、赤くなってるのよ」
「別に!…あつっ」
慌ててスープを飲んだら、舌を火傷してしまった。
「とにかく、言ってみたら?今日、誕生日なんですけど…って」
「い…いいよ。私は、そらさんに想われてるだけで、幸せだから」
舌先をコップに入った氷水で冷やしながら、答える。
「うわっ!言うよね〜。やっぱ、私がおごってもらおうかな?」
「それは、ダメー。ふふふっ」
食事が終わると、私達は、春物の服を見て回った。
どこのショップも店頭は、すっかり春の装いで、外の寒さを忘れさせるようだった。
「みどりー。気に入ったのあった?」
「うーん…。やっぱりさっきのお店のがいいかな。ゴメン、も一回戻ってもいい?」
「いいよー」
女の子同士のショッピングは、いくら時間があっても足りない位で、誕生日の事もいつの間にか忘れていた。
「あ…」
店を出ようとして、壁際に飾ってある服に目が止まる。