メインストーリー

□優しいkissを…vol.8
2ページ/4ページ

「そらさん?私です」

カチャッと、音がして、ドアが開く。

「紗絢ちゃん!どうしたの?」

びっくりした様子のそらさん。

「海司から電話あったんです。そらさんの具合が悪そうだからって」

「まぁた、余計な事を…。心配したっしょ?ただの風邪みたいだから大丈夫」

「本当ですか?」

そらさんの熱っぽい顔を見て、おでこに手を当てようとしたら、その手を掴まれた。

「ダメっ!近づいたら、移っちゃうかもしれないじゃん」

ちょっと怒った顔をする、そらさん。
でも、それよりも私は、そらさんの手から伝わる体温が気になった。

「熱、あるんじゃないですか!?」

「大丈夫だから、今日は悪いけど、帰…っ…て…」

「きゃっ!ちょっと…そらさん!?」

突然、そらさんがふらりと倒れかかってきた。
私は、なんとかその体を受け止めると、そのまま寝室に連れて行く。

「ほんっと、ゴメン…マジで、もう大丈夫。風邪移ると困るし…」

「私の事はいいから!病院は?タクシー呼びましょうか」

「さっき、薬飲んだし、一晩寝れば良くなるよ」

「本当に?…じゃあ、大人しく寝てて下さい」

「はぁ〜い」

そらさんがベッドに横になると、布団を首の所までかける。

「それから、明日の仕事、海司が代わるから休むようにって」

「マジで?な〜んか、奢らされそうだな」

そう言いつつ、ホッとしたように笑うと、そらさんは目を閉じた。
私はエアコンの温度を、ちょっと高めに設定し直すと、洗面所に行ってタオルを濡らしてくる。

「そらさん、ちょっと冷たいですよ」

「ん。気持ちいい。ありがと」

そらさんのおでこにタオルを乗せて、キッチンに行く。
冷蔵庫を開けると…。

(うわ、予想通り、何も入ってナイ…。卵が2個と、水と、魚肉ソーセージ?…あとは調味料。毎日、何食べてるのかなぁ。
保冷剤とかも…ないなぁ。そらさん、滅多に風邪なんて引かないし)

とりあえず、お米はあったので、ご飯を炊く。

(後で、お粥か雑炊にしよう。どっちにしても、買い物して来なきゃ)

そっと、寝室を覗いて、静かに寝ているそらさんを確認。
音を立てないようにドアを閉めて、私は近くのディスカウントストアに向かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ