メインストーリー
□優しいkissを… vol.10
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そらさんは、おにぎりもおかずも、ひとつ残さず食べ終えると、
「ごちそうさま。おいしかった〜」
そう言って、草むらの上にゴロンと仰向けになる。
「残さず食べてくれて、ありがとうございます」
「紗絢ちゃんが、一生懸命作ってくれたのに、残すなんてもったいない事するわけないっしょ。実際旨いんだし」
そらさんのそういう優しさが、とても嬉しい。
「お腹いっぱいになったら、眠くなっちゃったなぁ。…ね、紗絢ちゃんも寝転がってみてよ。気持ちいいよ」
空っぽの弁当箱を片付けていた私の手を、そらさんが引き寄せる。
私は、そらさんの横に同じように、仰向けに寝転がった。
空から降り注ぐ、柔らかな光に目を閉じると、小鳥のさえずりが聞こえる。
そよそよと、通りすぎてゆく風はとても心地よく、眠気を誘い出す。
(あ〜、本当に眠っちゃいそう…)
思わず、うとうとしかけた時、瞼の裏に感じていた光が、何かに遮られた。
…と、思った瞬間…。
唇に何かが触れる。
それが、そらさんのキスだというのは、すぐにわかった。
私は目を閉じたまま、そらさんの優しいキスで、夢の中にいるような感覚に陥る。
「紗絢ちゃんが悪いんだからね。そんなに無防備に目、閉じたりしてるから」
ゆっくりと顔を上げたそらさんが、私を見下ろしながら囁く。
「だって、太陽が眩しかったから…」
私がそう呟くと、暖かな陽射しの中で微笑む、そらさん。
また、そらさんの顔が近づいてくるのを感じとり、私は再び目を閉じる。
すると、草の上に伸ばしていた手の甲に、何かザラッとした感触が伝わって、飛び起きた。
「きゃっ!」
「え?どうしたの?」
そらさんも、驚いて起き上がる。