メインストーリー
□優しいkissを… vol.11
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「骨には異常ありません。捻挫ですね」
レントゲン写真を見せながら、整形外科の先生が説明する。
「動かさない方がいいので、サポーターで固定しましょう」
「あの…どれ位で治りますか?」
「とりあえず、一週間して経過を見ましょう。固定したら痛みも大分、治まりますよ」
(一週間…。どうしよう、もうすぐゴールデンウィークなのに…)
処置室で湿布をして、サポーターをしてもらうと、随分痛みが和らいだ。
松葉杖を借りて待合室に行くと…。
「そらさん?」
みどりと一緒にいたのは、そらさんだった。
「紗絢ちゃん!大丈夫!?」
「はい。でも、どうして?」
「病院から連絡があったんだよ。オレ、ちょうど総理の警護にあたってたから。総理もびっくりして、すぐに様子見てきてくれって」
(そうか。この病院、前に入院した事あったから…、お父さんに連絡行っちゃったんだ)
「あの…でも、仕事は?」
椅子に座ると向き合って立っている、そらさんを見上げて、聞く。
「班長に代わってもらった」
「桂木さんにまで迷惑かけちゃったんですね…」
「何言ってんの。班長も心配して、オレに行って来いって言ったんだから、気にしなくていいんだってば」
「でも…」
その時、受付で私の名前が呼ばれて、そらさんがスッと受付に向かう。
「よかったね。そらさん、来てくれて。きっと、飛んできたんだよ。超優しいじゃん」
「う…ん」
みどりが隣に座って、ひやかすような目をする。
(そう…。だから、知らせたくなかったのに…)
しばらくして、そらさんが精算を済ませ、薬をもらって戻ってきた。
「おまたせ。じゃ、帰ろっか。みどりちゃんも送ってくからね」
「すみません。お世話になりまーす」
「どういたしまして。で、悪いけど、これ持ってて」
そう言って、みどりに松葉杖を渡すそらさん。
そして、私の前に後ろ向きにしゃがむと…。
「え?まさか」
「はい、おんぶ」
「い、いいです!歩けます。松葉杖で」
「ほーらっ、遠慮しないで」
「遠慮とかじゃなくて…あ、車椅子もあるし」
「えー?面倒じゃん」
「そうだよ。そらさんの言う事聞きなって」
みどりが腕を引っ張って、そらさんの背中に私の体を預ける。
(みどりってば、笑ってるし…。)