メインストーリー
□優しいkissを… vol.12
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―こんな、キレイな青空は、心の中まで爽やかにしてくれる。
「やっぱり、そらさんは、青い空が似合いますよね」
「自分じゃ、よく分かんないよ。…でも、そう思ってくれてるなら、この“空”みたいに、いつでも紗絢ちゃんの事見守っているからね。逢えない時でも“空”を見上げればオレがいるって事忘れないで」
「はい」
そう笑顔で返事すると、なぜか顔が少しだけ赤くなるそらさん。
「うわ…今の顔、超可愛い。ね、キスしてもいい?」
「だ、だめですよ!学校の中だし、誰かに見られたら、恥ずかしいし…」
「じゃ、これならいい?」
そらさんは、私のひざの上に伏せておいた、演劇部の台本を手に取ると、横顔を隠しながら近づいて、
「チュッ」
目を閉じる間もない程、一瞬だけキスをする。
「アハッ、紗絢ちゃん、顔真っ赤」
「だって!〜〜もう!」
上目遣いでそらさんを見ると、
「ゴメン、ゴメン。それじゃ、続きはオレん家でね」
そらさんは、悪びれもせず、笑ってそう言った。
「えっ?いいんですか?」
「って…そんなに“続き”したいの?」
「じゃなくて!そらさん家に行っていいんですか?って聞いたんです」
あわてて、言い直す。
「ハハッ。わかってるって。学校終わったら、また迎えに来るから、ウチでご飯食べようよ。明日の埋め合わせのつもり」
そらさんは、青空のような笑顔でそう言った。
「嬉しいです。あっ、そろそろ午後の授業、始まっちゃう!」
腕時計を見て、急いで荷物をまとめると、そらさんに見送られながら私は校舎に向かう。
足早に歩きながら、もう一度空を見上げると、そこにも、そらさんの笑顔があって、見守ってくれてるような気がした。
―おわり―