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□ほしにねがいを。
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二年間は長くて短い
一緒にいた時間より離れていた時間のが長く
それでも
そばにいるのが当たり前だった
当たり前になっていたから隣に空いたスペースに風が通る
一日に何度もひなたの事を考え、想い、心が支配されていく
会える日を指折り数えた



突然、目が覚めた
おれの名を呼ぶ声が気がした
身体を起こすとルフィ達の寝息が聞こえた
空耳、だったのだろうか?
伸びを一回してベッドから降りると扉に向けて歩いた
外へ出るとまだそこには闇が広がる
空を見上げると、まんまるお月様
無数の星が散りばめられた宝石のように瞬いている
こんな夜には必ず、いる
おれは迷うことなく甲板に向かった
芝生に寝転ぶその姿を見つけると胸が高鳴った
仰向けに寝転がり、胸の上には懐かしいオレンジの帽子を乗せ、星空を見上げるひなたは近づくおれに気づくと身体を起こし、口元を綻ばせた

「願いが叶った」

ひなたは嬉しそうに帽子をギュッと握った
ひなたの隣に腰掛けおれは首を傾げた

「どうした?」

「あのね!さっき流れ星に『エースに会いたい』って願ったの」

すごいよね、すぐに叶ったよ!とひなたは笑う

「願わなくてもすぐ会えるだろ?今はすぐ近くにいるんだから…」

左手をギュッと握るとひなたの頬はほんのり赤く染まる
その姿にドキリとした

「なんか…夢の中にいるみたい」

「ん?」

「……………ずっと会いたかったから」

潤んだ瞳は真っ直ぐおれを見つめ返す

「離れていた分、エースの事いっぱい考えていたから。離れる前よりエースの事………大好きになった」

「………」

「って変かな??」

「いや………おれも同じだ」

手を伸ばし、ひなたの頬に触れ顔を寄せる
軽く唇を重ね、コツリとおでこをくっつける
ひなたの瞳におれがうつっている

「エース」

にこりと微笑んだひなたは胸に抱えた帽子をおれの頭に被せた

「………ただいま」

あの頃より引き締まったひなたの身体を抱きしめる
肩口に顎を乗せ、ひなたの耳元で囁くように呟く

「おかえり」

ひなたは頷くと再び、ただいま…と答えた



おれは夜空を見上げて流れ星を探す
願いはたった一つ


ずっと…
一緒にいられますように


もう
離れることはないように、と











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