+ パラレルワールド「ONE PIECE 」+

□13 『ALIVE』
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この世には指名手配書が二パターン存在する
一つは『DEAD OR ALIVE』
生死問わずの手配書
もう一つは海軍のごく一部だけに渡される
『ALIVE』
生きたまま捕らえろの手配書
それには懸賞金の記載はなく、表に出ることすらない手配書である


元海軍本部(現G1支部)
二年前、表舞台から引退したガープは若い海兵の育成に勤しんでいた
陽が落ち始めたグランドで過酷な訓練を見守るガープの背に声をかける一人の少年

「……ここにいらしたんですか、ガープ中将」

振り向いたガープは懐かしそうに目を細め、少年の名を呼ぶ

「コビーか、久しぶりじゃな」

コビーは若い海兵達にちらりと視線を向けるも直ぐにガープへと戻し、敬礼をする

「お元気そうでなによりです、ガープ中将」

「コビー……大佐になった気分はどうじゃ??」

ぶわっはっはっはっ、と楽しげに笑うガープにつられ、コビーも笑顔をみせた

「実は、新世界に行くことになりました。暫く戻ることはありませんので、その挨拶に…」

「その話は聞いておる」

ガープは遠くを眺めると再び大声で笑った

「………まあ、アイツに会ったら容赦なく取っ捕まえる事だな」

コビー苦笑いを浮かべると思い出したかのようにポケットにしまってあった手配書をガープに手渡す

「ルフィさん、また懸賞金上がりましたね?」

ガープの顔が一瞬で険しくなり、コビーは思わず後ずさった

「……元気そうじゃな」

ペラペラとめぐる手配書の中にエースのも混じっており、ガープはため息混じりに呟く

「………ん?」

エースの次の手配書が他の物とは違い、ガープは手を止めた

「あっ、それはっ!!」

コビーは慌ててその紙を奪い取ろうとするが、ガープは片手でコビーの頭を鷲掴みし近付くのを阻止する

「……ALIVE……生きたままの手配書を見るのは久しぶりじゃな……」

手配書の写真は女だった
肩にかかる黒髪と大きな黒目がちな瞳
日焼けした肌のせいで一見、男の子のように見えなくもないが、どこにでもいそうな女である
だがそれでいてどこか人を惹き付ける魅力をガープは感じた

「何をやらかしたんじゃ?」

ガープは首を傾げ呟く

「……今、海賊の間で噂になっていることがあるんですが、異世界から来た人間がいるそうなんです」

「………っ!い、異世界じゃとっ!!」

ガープの大きな声が響き、若い海兵達がこちらを不思議に見つめた
コビーは慌ててガープの口を押さえる

「ガープ中将っ!極秘なんですっば!!」

「…………どういうことだ?」

「この前、dream landで起きた事件で捕まったブルーゲートという男の手下が、異世界から来た人間の話をしたそうです」

「こいつが異世界から来たと?」

コビーは首を振る

「まだ分かりません。ただ、別の海賊の話によると火拳のエースの彼女が異世界から来た……」

「な、なんじゃとーーーーっ!!」

再び大声を出すガープの声に若い海兵達はびくりと身体を震わせた

「エ、エースの彼女……」

ガープは手配書に視線を落とす

「ひなた……」

ガープは呟くと同時に口元を綻ばせ、コビーに背を向け歩きだした

「ガープ中将っ!」

ズンズンと歩いていくガープの後ろをコビーは小走りで追いかける

「……出発はいつだ、コビー?」

「はい?」

追い付いたコビーがガープの横で首を傾げた

「わしは長期休暇をとる」

「えっ??」

コビーは驚き、足を止める
ガープはぶわっはっはっはっと大声で笑った

「エースの彼女と聞いて、このまま会わずにいられないじゃろう」

「…………」

「……どんな女か楽しみじゃ」

それから暫く、元海軍本部にはガープの楽しげな笑い声が響き渡っていたとか、いなかったとか……
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