+Toi et moi+

□1 運命の出会い
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ウォーム大国の王子を含む5名の『妃』捜しの旅は半年が過ぎようとしていた
次期国王候補、第一王子クロード・ウォームは正直うんざりしていた
結婚など現実味が全くない
しかもクロード自身が妃となる者を捜し、妃となる者のハートを射止める事で、晴れて国王としての資格を得られるのだ
要は互いが互いを思う運命の相手を捜さなくてはいけない

現国王であるエフェクト・ウォームが妻である王妃リアンと出会ったのは、14歳の頃
前国王と共に訪れた隣国の姫だったリアンと出会い恋に落ちた

その前の国王もその前の国王も旅に出なくても運命の出会いを果たしていた為、『妃』捜しの旅に出る事になるのは150年以上ぶり
国をあげての一大事だった

だからと言ってクロード自身の見てくれが悪いとか性格が悪いとかの問題では無い
どちらかと言うとモテる方である
背丈は180p
鍛えぬかれた身体
日焼けした浅黒い肌
さらりと、風に揺れるボルドーのストレートヘア
吸い込まれそうなほど綺麗なコバルトブルーの瞳
城の中だけではなく城下町にまで隠れファンはいる


王子のハートを射止めれば、王妃になれる


そう
身分は二の次
王子に好きになってもらえれば誰でも王妃と言う地位につくことが出来るのだ


女達はシンデレラストーリーを夢見る


「女には興味がない。だから旅には出ない」

クロードは国王にそう告げた事を後悔した
エフェクトは大きなため息をつく

「あらあら…どうしましょう?」

王妃リアンは片手を頬にあて、首を傾けた

「クロード様は男の方がお好きでいらしたのね。気づいてあげられなくてごめんなさいね」

と真面目な顔をした

「いやいやいやいや…………」

クロードは王妃の天然っぷりには慣れているつもりでいたが、これほど酷い誤解はない
しかも

「クロード、そうなのか!!どうして早く言わないんだ……!仕方がない。この際男でも構わないぞ」

と国王まで酷い誤解をしてくれた

「お前が好きで相手もお前を好きならその結婚は認めようぞ!」

隣で弟達が笑いを堪えて肩を揺らした

「で、相手はだれじゃ?居るのだろう??」

「国王!あの方ではないでしょうか?小さい頃から仲良しでしたジャック様」

「騎士団のか?」

「ええ、素敵な方ですもの」

「まっ………待ってくれ!おれ………おれは」

このままではジャックと結婚させられてしまう
思考回路が停止し公衆の面前で高らかと宣言させられた

「おれは男より女が好きだ!!男と結婚してたまるか!!妃捜しの旅でも何でも行ってやる!!」

そして現在に至る
ただし、思っていたより困難な旅である
色々な国、街、村に立ち寄るもクロードの心を奪うものは現れない
元々真面目な性格の為、適当に選ぶ気もおきず、クロード達の旅はまだまだ続くのであった
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