REBORN!!短編

□Welcome to the fantasy world!
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その日は唐突で。さりとて、それが初めてというわけでもなくて。
リボーンに雲雀宛に用事を頼まれたからいやいや応接室に向かった綱吉。
そこまではよかった。
応接室の戸を開ければ問答無用で咬み殺され、何とか死ぬ気でリボーンの用事を伝えればすむからだ。
ただ、そう。これがいつもだったらの話だ。

「……はい?」

いなかった。
いつもは応接室にいるはずの雲雀がいなかったのだ。
変わりに机には伝言用にと思われるメモ用紙が置いてあって。
それには、
[妖精に誘われたから行ってくるね]
と、訳もわからない内容が書かれていて。

「雲雀さんまた連れていかれてるし!!」

と、頭を抱えて絶叫した。

◇◇◇

「骸ーー!!」

メモ用紙を見つけて綱吉がとった行動は、授業をサボり黒曜ランドに全力疾走することだった。
その際、綱吉の行動を不思議に思った獄寺と山本、たまたますれ違った笹川も綱吉と共に黒曜ランドに来ていた。
黒曜ランド内に入り、いつも骸がいる部屋に向かえば、やはり骸はソファーに寛ぎながら本を読んでいた。
その横ではクロームがイタリア語を学ぶための教材を読んでいた。

「む、骸!!」

「雲雀さんが!!雲雀さんが!!」

要領を得ない綱吉の言葉に訝しげに眉を寄せていた骸は、やがて得心が行ったように頷いた。

「またですか」

「またなんだ」

脱力し、疲れたように言う綱吉。
二人の会話を聞いて、獄寺達三人は首を傾げた。

「ボス達、来てたの?」

「お願いします」

深々と頭を下げる綱吉に、憐れむような眼差しを送りつつ骸は三叉の槍を取り出した。
軽く柄で床を叩けばとたんに空間が歪んでいく。
上下の感覚がなくなり、目眩がする。

「…んだ、ここ…」

獄寺が呆然と呟いた。

「俺たち、黒曜ランドにいたよな?」

山本も同じように呆然としていて。

「極限にここはどこだ!?」

笹川が二人の気持ちを代弁するかのように叫んだ。
今、綱吉達がいるのは草原だった。
色とりどりの草花が生い茂り、中には見たことのない不思議な花まであった。
風が心地よく、穏やかで。
どうなっているのか、訳がわからなかった。
そんな中、綱吉は迷いなく走っていく。
そしてその先には。

「雲雀さん!!」

「沢田?なんでいるの?」

お茶会をしている雲雀がいた。
ただし、相手は人間ではなかったのだが。

「おや。今回は妖精ですか。前回はユニコーンでしたよね」

と、骸が呑気に言った。
そう、雲雀とお茶会をしているのは妖精だった。
掌サイズの妖精は蝶の羽のようなものが背中からついていて。
その妖精が、突然の綱吉達の来訪に驚くことなく、笑っていた。

「雲雀さん…。何してるんですか?」

「何って、お茶会。茶菓子がおいしいんだ」

のほほんと答える雲雀に綱吉は脱力したように座り込んだ。
それを見て雲雀は首を傾げる。

「何、疲れたの?これでも飲んで落ち着きなよ」

と、どこかズレた事を言う雲雀。

「クッ、クハハハ!!アハハッ」

それに骸が愉快そうに笑いだした。
綱吉はもうツッコム気にもなれずに、ガックリと項垂れた。


「……んだ、これ」

「…雲の人は不思議世界の住人と波長があうらしくて…、しょっちゅう、連れていかれるの」

現状を理解できていない三人にクロームは説明しだした。

「それで、ボスはよく骸様に頼んで不思議世界に連れてってもらって……雲の人を迎えに行くの」

「……なんつーか…」

クロームの説明を聞き、獄寺がポツリと呟いた。
視線の先には妖精と戯れていた雲雀が妖精と共に空に飛んでいこうとしていて。
それを骸は腹を抱えて笑い、綱吉は雲雀にすがり付き引き止めていた。

「わけわかんねーわ」

獄寺の言葉に同意するかのように、山本と笹川が大きく頷いた。



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この小説は空様のリクエストです。遅くなりましたが、どうぞ。
…リクエスト道理にできたか不安ですが、気に入らなければ、書き直しますので遠慮なく言ってください。

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