ねむり姫の永夢
□希望狩りを始めましょう
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つまりそういう事だった。
ようはリング争奪戦の時と同じだ。幻術と幻術との戦い。
アルコバレーノ、マーモンを圧倒したほどの実力を持っている骸にしてみれば幻術を自分の幻術で支配することは造作もないことだろう。
そしてそれは実力のある術者であれば骸でなくとも可能だと言うこと。だからクロームもできると骸は言ったのだ。
「ムゥ…。どういう事だ?」
骸の話が理解できなかったのか、笹川が訊いた。が、骸はそれを無視する。
どうせ説明しても理解できないのだからしても無駄だ。
「それより気になるのは雲雀恭弥の方ですよ」
「恭弥がどうしたんだ?」
雲雀の名前を出した途端、ディーノが身を乗り出すように訊いた。それだけ雲雀のことが心配と言うことだ。
骸はユリウスに抱きかかえられているアリスを見た。
可愛らしい寝顔。黒髪が光の加減で金色に輝いている。
無邪気で純粋。そんな印象の彼女はそれでも胸の内側は狂気でドロドロだ。
「この幻術はアリス・ダンヒーラのものです。彼女は雲雀恭屋に異様に執着している」
つまり、雲雀にも何らかのアクションを起こしている可能性があると言うことだ。
雲雀は眠ったまま目が覚めておらず、病院に入院している。だから当然ここにはいないし、眠ったままだとすれば雲雀に何か起きたときに身を守ることはできない。
ディーノは名古屋に来る前に部下に護衛を命じたがウサギのバケモノの実力を見て部下だけでは心もとない。
つまり、今の雲雀は守りが薄いといってもいい。
その事実に全員が騒然とした。
「ツナ。お前だけ先に並盛に行け。お前一人ならすぐに行けるだろう」
いつものように空を飛行し、全力でいけばすぐにつく。リボーンはそう判断し、綱吉にそう命じた。
「ああ、わかった」
拳から噴き出る炎の出力が上がる。空高く舞い上がる綱吉はリボーン達を一瞥した。
「頼む」
ディーノの言葉に頷き、綱吉は橙の軌跡を描きながら並盛へと向かった。
「俺たちもできるだけ早く帰るぞ!!」
骸が叩き潰したにもかかわらず、ウサギは数えきれないほどに溢れディーノ達を囲った。これはアリスが生み出した幻術だ。ウサギの出現を食い止めたいのならばアリス自信を止めなければならない。
「骸!!お前マーモン戦のようにアリスの思考支配しろよ!」
優れた術者ほど幻術は効きやすく、同時に知覚のコントロール権を奪われやすい。それを思い出し、獄寺は叫んだ。
それに骸は顔を顰め、首を振った。
「無理です」
「なんでだよ!!」
「彼女の精神は僕の幻術のかからないほどの奥深くにいる。しかもご丁寧にラビィの力で結界を張っているようですし」