REBORN!!短編
□悩み
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月日は流れ今年の春。
綱吉は並中を卒業することになった。
綱吉だけではなく獄寺、山本もそうだ。
そして三人が卒業すると共に綱吉率いる十代目守護者達はボンゴレを引き継ぐためイタリアに行くことになっている。
そしてその綱吉だが今は黒曜ランドにいた。
「で?なんの用ですか?」
「用がなきゃ来ちゃダメなのかよ」
「はい」
「即答かよ!!」
綱吉は叫び苦笑した。
「荷造りとかあるでしょう」
「う…、ん…」
綱吉は気まずそうに頷く。
骸はため息をつき紅茶を机に置き綱吉の前に座った。
「あ、ありがとう」
互いに向かい合わせに座りながらも会話がない。
「で?用は?」
「……悩み、きいてください」
「他をあたれ」
「骸じゃなきゃいやだ」
骸はまた、ため息をつく。
「あのさ骸…俺、本当にボンゴレ継がなきゃダメかな」
骸は虚をつかれたように軽く眉をあげる。
「本当にボンゴレを継がないとダメなのかな」
「それが君の悩み?」
綱吉は頷く。
「だってマフィアになったらいざとなったら人を殺さないとダメなんだよ?俺は、人を殺したくないんだ」
「…君は一度ボンゴレを継ぐと言ったでしょう?だからイタリア行きが決まった」
「そうだけど」
骸はため息をつき扉を指さした。
「帰りなさい。君のおか
げで無駄な時間を使ってしまった」
「骸……っ」
綱吉は泣きそうに顔を歪める。
「君はなぜマフィアになると言ったのですか」
「それは…」
仲間を、守るため。
自分がボンゴレのボスになれば無駄な戦いをやらせずにすむと思ったから。
「君は悩む必要などないのに無理に悩んでいる…そんなことしても無駄だというのに」
「だって…」
綱吉は言いにくそうに言う。
「だってマフィア怖いし…それに骸に嫌われるかも。とか思っちゃったし…」
「は?」
「骸、マフィア嫌いじゃないか」
「嫌いですよ?潰したいくらいに」
骸は額を押さえた。
この子は自分に嫌われたくないから継ぎたくないという。
なんともバカらしい考えだ。
呆れてきた。が、
そんな綱吉が愛しいと思えた。
「でも、だからといって君のことが嫌い。とかじゃないですよ?君がマフィアになってもね」
そう。
今のまま変わらなければ。
「…本当に?」
「まぁ今の君じゃなくなったら嫌うかもしれませんが」
そう言うと綱吉は笑った。
「なら、変わりそうになったら殴ってでも止めてね」
「…yes,sir」
二人は笑いあった。
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