ねむり姫の永夢
□僕らは永遠に踊り続ける
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「俺は、この病を知っている」
そう、ユリユスは言った。
「永夢病……、聞いたことねーな」
「まぁ、俺が勝手にそう呼んでいるだけだからな」
ユリユスはそう言いながら、雲雀に近づく。
規則正しい寝息をたてながら眠る雲雀。
ユリユスは目を細めた。
雲雀の頬を手を当て、その体温を確かめる。
まるで死んでいるかのように見えても、生きている。
「永遠に夢から覚めない病。だから、永夢病」
「君はなぜ…かりに永夢病だとして、その病の事を知っているのですか?」
「簡単な事だ」
振り返り、ユリユスは骸を見つめる。
「俺の妹も同じ病にかかっているからさ」
「え、雲雀さん以外にもいるんですか!?」
沢田が驚いたように訊いた。
ユリユスは鞄からファイルを取りだし、沢田に投げ渡す。
不審に思いながらもファイルを開けば、そこに乗ってあるのは海外の新聞の記事だった。
他にも、ユリユスのメモらしきものまである。
「これは…」
沢田の横からファイルを見ていた獄寺が驚いたように、ファイルを読み、ユリユスを見た。
「他にも、たくさんいるのか…」
「日本はあまり被害は出ていないが、海外じゃ永夢病は頻発している」
「……でも、おかしいよ、これ」
沢田はファイルを読みながら言った。
「だって、永夢病に罹っている子って、どの子も五、六歳の子だ。雲雀さんは確かに年齢不詳だけど、俺らと変わらないはずだろ?」
「そうだ。永夢病の被害者は皆子ども。…例外は雲雀恭弥。そして――」
ユリユスは一度、言葉を切り目を閉じる。
握りしめた拳は震えていた。
「そして、俺の、妹だけだ」
「むぅ。それは…極限に心配だな」
笹川がそれを聞き、言う。
笹川も京子という妹がいる。
妹がそんな目が覚めない病に罹っていたとしたら、心配で気が気じゃない。
そういう意味ではユリユスの気持ちを誰よりも理解できるのは笹川だろう。
「だからこそ、なんだ」
「へ?」
ユリユスの言っている意味がわからないのか山本は首を傾げた。
山本だけではなく、沢田もクロームも笹川も首を傾げている。
「…雲雀のヤローとあんたの妹が唯一の例外。つまり、二人がこの病を解く鍵かもしれない、か?」
獄寺が顎に手をあて、考えるように言った。
それにユリユスは頷く。
「けど、鍵かもっつったって、どうしろと…」
ディーノがそう反論すれば、リボーンが骸を見つめた。
骸は眉をひそめ、見つめ返す。
「骸、精神世界に潜りこめ」