ねむり姫の永夢

□希望狩りを始めましょう
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「やぁ、やぁ」

突然現れたウサギ。白いウサギはリボーンと同じ大きさだ。
にぃ、と大きく歪に笑うウサギ。
ウサギはいつの間にか部屋を埋め尽くす程の数になっていて。
歪に笑った口からは、鋭い刃物のような歯が見えた。

「やぁ、やぁ」

数多のウサギが口を揃えて言う。
歪んだ瞳。真っ黒で、何もない。
刃物のような歯が、鈍く光った。

「やぁ、やぁ。死ぬ時間だよ」

そうして、ウサギが一斉に綱吉達に襲い掛かった。


響く爆音。鼻孔をかすめる血の臭い。
突如現れたウサギの大群に襲われ、綱吉たちは傷を負いながらも眠っているアリスを連れ部屋から飛び降りた。
アリスの部屋は、いやダンヒーラ家は短いとはいえウサギとの戦いにより崩壊していた。
それをとっさにクロームが幻術で近所に気づかれないようにし、獄寺のSISTEMA C.A.Iで周りをガードし被害を最小限に抑えた。

「いったい、これは…」

とっさに超モードになり、戦闘態勢に入っていた綱吉はウサギの大群を見つめながら呟いた。
それぞれも戦闘態勢に入り、警戒を怠らない。
とりあえずアリスの部屋から出はしたが、ここで戦闘をしたら確実に周りに被害が出る。
それだけはなんとしても避けなければいけない。
「とりあえずここから離れるぞ!!」

ディーノの言葉に全員はすぐにこの場を離れようと動き出す。
なるべく人気のない所へ行こうとする。その間にもウサギは襲い掛かってくる。

「面倒ですね…」

ウサギを三叉槍で薙ぎ払いながら骸は呟いた。

「ひとまとめに叩き潰しましょうか」

「どうやって!!」

事もなさ気に言うムクロに綱吉が叫ぶように訊いた。X BURNERを使えば可能だろうが、住宅が並ぶ場所でそんな大技を使えば被害が大きい。そしてそれは他の者も同じだった。

「こうやってですよ」

パチン、と骸は指を鳴らした。多端にウサギたちが潰れていく。白い身体とは正反対の黒い液体をまき散らし、ウサギたちは悲鳴をあげることなく潰れ霧散した。

「…お前…」

その圧倒的な強さに綱吉たちは呆気にとられた。復讐者の牢獄から出た骸は日々急成長している。それは知っているがいくらなんでも強くなり過ぎだろう。

「別に可笑しなことでもないですよ。集中すればクロームも出来るでしょう」

「は?クロームも?」

骸の言葉に山本は首を傾げ、クロームをまじまじと見つめた。

「クローム、気づいていましたか」

骸の問いかけにクロームは小さく頷く。
二人のやりとりを聞いてもやはり分かるわけもなくて、それを代表するかのように獄寺が訊いた。

「どういう事だよ。説明しろよ」

「あれは幻術ですよ。実体の持った、ね。目には目を、歯には歯を、幻術には幻術を、ですよ」
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