REBORN!!短編
□会いたくて
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会いたくて、会いたくて。
ただ、それだけを、望む
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夢の中。
何度来ても慣れることはない。
雲雀はそっとため息をついた。
そして真っ直ぐ歩く。
目的地などない。
適当に歩く。
ただそれだけでそのうち会いたい者に会えると知っているから。
ひたすらに想うそれは初めて感じた想い。
「やぁ」
「こんにちは、雲雀恭弥」
目の前には会いたいと思っていた者――六道骸に会った。
特徴的な髪型に黒曜の制服。
相変わらずだな、と笑ってしまう。
「久しぶりだね、元気してた?」
「さあ?水牢の中では余り感じませんから」
そう言って骸はほほえんだ。
「君は相変わらずのようですね、また沢田綱吉とかで遊んだのでしょう?」
「まぁね」
なにが可笑しいのか二人は笑いあう。
「君は、なぜ僕と戦おうとしないのですか?」
ふと骸は突然雲雀に質問した。
「………さぁ?なんでだろうね」
自分自身でもわからない。
自分は骸と戦いたかったはずなのに。
骸の整った顔を見て考える。
時々その整った顔は薄くぼやけている。
「……知らないよ、ただ戦いたくない」
「じゃあ、なぜ会いに?」
「それは……」
ただひたすら思う、ただ
「会いたいだけ?」
「なぜ疑問型なのか解りませんがその言葉の方が驚きですね」
なにか裏でもあるのでは。骸は視線で訴える。
「べつに、ただそう思っただけ」
そうだ。
会いたくて、会いたくて
いつもただそれだけを、望んでいる。
「だからとっとと脱獄しなよ」
「は?」
「夢の中で会っても意味ないだろう?」
夢ではなく現実に。
「本物の君に会いたい」
「…………」
骸はなんとも言えない表情を雲雀に向ける。
「………じゃあ、頑張って見ますよ」
「うん、頑張って」
もし、本物の君に会ったらその時は、戦いたいな。
(夢ではなく現実で)
(君に会いたい)
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