REBORN!!短編

□運命論
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夢の中。
僕は毎日そこで夢を見る。
それはとてもとても不愉快な夢。
それは夢とは違うけれど。
これは記憶なのだけれど。
数々の記憶。
いろんな世界の―――平行世界(パラレルワールド)の記憶。

「嫌みですかねー、これ」

林檎の被り物を被った少年――フランはうんざりしたように呟いた。

いつものように川で遊んでいたら現れた二つの集団。
自分はどうやらそのどっちかに行くようなことになっていて。
それで決めたのだ。
「おもしろそうだから」という理由で。
そして、それが夢で見る。
他にも、場所や理由が違っていたけれど、彼を選んだ光景も見た。
彼―――六道骸を選んだ光景が。

「それで、あんたはこれをミーに見せてどうしたいんですかー?」

フランはくるりと振り返る。
そして、気だるげな瞳を細めて言った。

「‘フラン’?」

フランよりもだいぶ大きい少年と青年の間ぐらいの年頃の子。
カエルの被り物を被った男が皮肉げに口角を上げた。
エメラルドの髪が靡(ナビ)く。

「やっぱり気づきましたかー」

「自分ですからねー」

語尾を伸ばしながら二人の‘フラン’は言う。
カエルの被り物を被ったフランがふふふ、と笑んだ。
それがなんだか己の師に似ている気がした。

「なんでこんなものを見せるんですかー?」

「六道輪廻って信じます?」

六道輪廻。たしか師である六道骸の力と関係があったような、無かったような。
そんなことをフランは表情を変えず考えた。

「それで?」

「……結局のところ」

カエルの被り物を嫌そうに弄りながら、それでもフランは少しだけ嬉しそうに、安心したように笑う。

「“変わらない”んだなーって」

そう言うと‘フラン’は霧となって消えた。
あとに残ったのは林檎の被り物を被ったフランのみ。

「ああ…」

フランは小さく声を漏らす。

「“決まってる”って、確かめたかっただけかよ」

そう、忌々しげに吐き捨てた。



運命論
(なんてくだらないんだ)

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