REBORN!!短編
□約束
1ページ/1ページ
ずっと離れないと誓って髪を撫でてくれた。
なのになぜ、
隣に君はいないの―――――?
――――
「え?」
思わず呆けた声が漏れた。
「ですから…ディーノさんが…重傷を負って…もう…」
そう言って沢田は泣きはじめた。
なんでもイタリアで敵対マフィアと戦っていたらしい。
勝負はキャバッローネの勝ち。
だが、キャバッローネの一人が油断し敵対マフィアに撃たれた。
ディーノはそれを庇い急所に弾丸が貫いたらしい。
「…うそ」
「あの…ロマーリオさんがディーノさんにあってくれって…」
確かに近くにロマーリオがいた。
「イタリアに今から行けるか?ボスがあんたに会いたがってる」
言われるままに雲雀はイタリアに向かった。
― ― ―
イタリア。
そこの病院にディーノは眠っていた。
「跳ね馬…?」
嘘。ディーノじゃない。
ディーノはもっと血の気があって。
呼んだら笑って返事をしてくれる。
「跳ね馬…」
ディーノの手がピクリと動き瞼が震えた。
「きょ…、や…」
ディーノは雲雀を見つけると笑った。
「よぉ」
「跳ね馬…なんで…」
笑うディーノに力はなく。
「ごめん……」
ディーノはすまなそうに謝罪する。
息が荒く早い。
「いやだ……なんで謝るの?」
「だって…もう一緒にいられないから」
「そんなことない!」
雲雀はディーノにすがり付いた。
「ねぇ、君言ったよね?ずっと一緒にいるって。離れないって」
ずっと一緒だと、そういって優しい温かな手で撫でてくれた。
「約束…でしょ?」
「ごめんな…恭弥」
ディーノは重い腕を持ち上げ雲雀の頭を撫でる。
雲雀はディーノに撫でられるのが好きだ。
心地よくて安心する。
でも。今は安心できない。
「いやだよ、いやだよ…」
「恭…弥――……愛してるぜ」
パタリ。
ディーノの腕が落ちた。
「嘘…ねぇ…跳ね馬!!跳ね馬!!…っ」
揺すっても閉じられた瞼は開くことない。
「でぃ…の…」
視界が霞む。
頬に伝う滴。
ずっと離れないと言って髪を撫でてくれた。
なのになぜ君は隣にいないの
「でぃーの…ディーノ……、ディーノ!!」
布に水が染み込んでいく。
「ぅあああああああああ!!」
いくら呼んでももう返事はない。
もう、あの温かな優しい声を聞く事はできない
もう、頭を撫でてくれない
大好きだった人はもう、どこにもいない――…
雲雀は一人声を出して泣き続けた。
(愛してるぜ、恭弥)
(僕も愛してるよ…だから…)
.