私の名前は…

□03,沈黙
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パチッ!!
私の目が覚めた。

そして何回か瞬きを繰り返す。

やっと完全に目が覚めた。

私以外誰もいないみたいなとても、とても静かな部屋で。

とは言っても、目は覚めてもまだぼんやりとしているところも少々…。

静か過ぎて怖いくらいだった。

そしてハッと気づく。

自分の体に異変がある。

変な感覚がする。

普段は感じることのない感覚。

自分はどっかがおかしくなったんだろうか。

頭がどっか狂ったんだろうか。

自分自身に恐怖を抱き始まる。

変な感覚は正しいのか確かめる。

口元から感じるので、何も感じないほうの手を動かし口元に持っていく。

手に何かが当たった。

触った感じだと、マスクのような感じだった。

丸っこいカップのようなマスクだった。

改めて、じっくりと考える。

人口マスクだった。

それに、腕に何か刺さっている。

針が腕の血液に直接刺さっているみたい。

自分の視界の端に管みたいなものが映っている。

細くて長い管。

その中に絶え間なく、何かが流れ続けている。

透明で、色が着色していない液体。

粘っこさを感じないさらさらな感じのする液体が流れていた。

そう、私の腕は点
滴とつながれていた。

栄養等が体に補給されている感覚がある。

このおかげで、寝続けることが出来たのだ。

感謝しなければならないような気がする。

そこで、自分の目覚めた部屋が病院のとある病室だと気づいた。

自分は、どうしてここにいるのだろう。

誰によって連れて来られたんだろう。

どれだけの間寝続けていたのだろう。

疑問は嫌になるほど浮かんでくる。

一回ため息を吐き、深呼吸する。

ここは個室だなぁって思った。

自分のためにだったら、本当に悪いと思う。

そんなことを思っていると、ドアの付近が妙に騒がしくなってくる。

誰かの足音が自分の部屋に近づいてくる。

どこに向かっているんだろう。

自分の部屋の前で止まるとは思っていなかった。

自分の部屋の前で足音が止まった気がした。

視線をドアにやる。

二人くらいの人の気配がする。

そのまま、物音ひとつしない時間が一、二分過ぎていく。

気のせいかと思ってドアから視線を外す。

しかし、気のせいでは………なかった。

ドアが少しずつ開いていく。

そっとドアを開けているのがよくわかる。

何となくだけど伝わってくる。

お医者さんか、看護士
さんだと思っていた。

それしか、パッと思いつかなかった。

ドアに意識を集中させる。

ドアから入ってきたのは見知らぬ人達だった。

親子みたいだった。

自分と年齢が同じくらいの男の子と母親。

思わず二人のことを凝視した。

この病室には、私以外誰もいないはず。

それなのに、何故彼らが入ってくるのだろう。

頭がパニックになる。

ごちゃごちゃとしている。

戸惑いの波が押し寄せる気がした。

男の子が突然自分を見た。

視線が一直線になる。

お互いに視線が合ったまま時間が数秒間止まる。





























これが、私と彼(佐久間)の出会いだった。
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