私の名前は…

□06,新天地
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無事に病院を退院した刹懦は病院の前に立っていた。

今日から×××児童養護施設でお世話になる。

ここまで車で迎えに来てくれるので待っていた。

今までお世話になった医師らも一緒にいてくれた。
すぐ傍で待ってくれていた。


とてもよい医師にお世話になったと思う。優しく接してくれた。

私のことをいろいろと心配してくれた。多分、私には記憶がないからっていうのが一番の理由だと思うけど。

また何かあったらお世話になろうと思う。
いつか、私の記憶が戻って来たときとかね。私の記憶が戻ることはあるのだろうか。失ってしまった過去は取り戻せるのか。

過去を受け入れることが出来るかはわからない。どんな記憶が蘇るのか。想像しか出来ない。
パンドラの箱のようなものだ。

でも、恐れないでいたい。受け止めたい。

そして、もし私に家族がいるのなら会いたい。もし、いなくても墓参りに行きたい。自分をここまで育ててくれた人達に御礼を言いたい。

そんなことを思って待っていると一台の車が私達の目の前に止まった。

窓がゆっくりと開く。そして、優しそうな表情を浮かべる男性がいた。

?「君が手坂刹懦ちゃんかな?」

刹懦『あ、はい。そうです。』

?「私は×××児童養護施設の垣谷。これからよろしくね、刹懦ちゃん。」

刹懦『あ、そうなんですか。これからよろしくお願いします。垣谷さん。』

垣谷「じゃあ、これから向かうから車に乗って。」

刹懦『あ、はい。ありがとうございます。迎えに来てくださって。』

彼女は後ろのドアを開いて乗り込む。

そして、シートベルトをする。

垣谷「じゃあ。出発するよ。」

彼女が頷いたのを見て垣谷はアクセルを踏み込む。
医師らに見守られながら車が動いた。

そして、病院を出た。






























景色をぼーっと眺めていると、突然車が止まる。目的地にあっという間に着いた。

荷物ははっきりいってない。
それもそのはず。
私は着の身着のままなのだ。
おそるおそる施設の中に入る。

たくさんの子供がこちらを見る。
幅広い年齢の子供がいた。
同い年くらいの子、幼稚園くらいの子、高校生くらいの子。
様々な表情を浮かべていた。

垣谷「今日から一緒に生活する手坂刹懦ちゃん。みんな、仲良くしてあげてね。」

刹懦『よろしくお願いします。』

みんなに自己紹介をしてもらった。

たいていの人と仲良くなったと思う。
同い年の咲枝ちゃん。香奈ちゃんとは特に仲良くなった。

他愛のない会話をして一日が終わった。


これから楽しく生活していけそうだと思った。

明日は少し楽しみで、すぐ寝付けずに過ぎ去った初日でしたとさ。

End
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