私の名前は…

□00,プロローグ
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そんなことを三人とも思い、確かめ合えた。



















本当に…。
本当に幸せだった。
この些細な幸せを三人とも噛み締めていた。


































このありきたりな幸せが壊される。
そんなことを知る者は誰ひとりとしていない。
知ることは許されないから。

























しかし、それは意外にも近づいていた。
すぐ目の前に迫っていたのだった。






















破壊の音はだんだんと大きくなり私達家族に近づいて来る。

ズズズズッ。ズズズズズズッ。
「「「『「?」』」」」
みんなで疑問を持ちながら車の窓から外を眺める。


















その時だった。






















雪崩が車に襲ってくる。
誰ひとり逃がす暇を与えず。
許さず。



誰もが死を覚悟した。
しかし、助かりたいとも願った。
こんなところで人生を終わらせたくない。
まだまだしたいことがある。
後悔したくない。






















生きたい!!!!!!!





























ドッサーン。












壊された。
三人の絆。
些細な幸せが。
破壊の音が覆いかぶさりすべてを消し去った。
たった一瞬で……。





























間に合うはずもなかった。
誰も助かる訳なんてなかった。





































ヒューーーーーーーーーーーン。


ゴンッ。

何が起きたのかわからなかった。
頭が働かない。
何も考えられない。
頭がぼーっとしている。
意識がはっきりとしない。
考えようとすればするほどぼーっとしてくる。
そして意識を手放した。
























どれくらい時間が経ったんだろう。
それを知る者は誰もいない。
私は目覚めた。
雪の上で。
しばらくぼーっとした後、体を無理矢理起こした。
近くをキョロキョロと眺める。
周りは白銀の雪景色。
しかしある一カ所を除いて。
私の頭らへんにある石には血が付着している。
触ってみたところ固まっていた。
この気温だから当たり前だろう。
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