Lust

□序章*零
1ページ/4ページ

 煌暦1964年、帝都。警視庁が警察庁に呑み込まれ、ただひとつ警察庁となった。
 そして都市の治安を守るため、“学園”が設立された。警察庁の管理下とされ、生徒たちは学生でありながらも特殊部隊へと所属した。警察庁刑事課第零係特殊警察部隊――通称・零。
 年を経るにつれて帝都の犯罪件数は減少の一途を辿っていた。帝都には徐々に未来への明るい光が差していったのだった。しかし、光が強くなれば同じだけ闇が浮き彫りになってくる。


 煌暦2034年、帝都。人影は4つ。ひとつは蹲り、残る3つはそれに迫る。声は聞こえない。まるで声までもが暗闇に呑まれてしまっているようで気味が悪い。そんな闇を切り裂いたのは蹲っていた影の断末魔。
 厚い雲が割れ月がその輪郭を現すと4つの影を照らし出す。学生の証である制服に身を包んだ少年2人と少女1人。アスファルトに転がったヒトだったもの。少年少女たちは、そんなただの塊と化したものに世にも美しい笑顔を向けた。

 死の天使――彼らが裏でそう呼ばれる所以である。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ