Lust

□幕間U
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 草木も眠ると言われる丑三つ時を一時間ほど過ぎた夜中の3時。誓は久々に見た悪夢から解放されようと目を開けた。額には汗が滲み、体に張り付くTシャツが気持ち悪い。
 時間も時間だがシャワーでも浴びようとベットから出て、部屋に常設されたシャワールームに向かう。脱衣所の鏡に映る自分の顔。

「はっ、酷い顔だな。」

 シャワーのコックを捻り、勢いよく出てくる冷水を頭から被る。少しの間、そうしていれば頭がすっきりしてくる。意識がはっきりしたところでシャワーを止める。濡れたままの髪をかるく束ね、タオルを肩に掛けて部屋に戻る。
 椅子を窓際に持っていきカーテンを開ける。窓には、また強くなった雨が打ちつけ音を立てる。

「父さん…。」

 幼い頃から、雨は、苦手だった――。
 いや、幼い頃に、苦手になった――。




       
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