Lust
□幕間U
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警察庁刑事課第五係のオフィス。坂牧は自分のデスクで目を覚ました。携帯を確認すると夜中の3時を回っていた。
珍しく残業をすると言って残ったものの、いつの間にか寝てしまったらしい。
「これじゃ部下たちに、またどやされるな。」
椅子を回して窓を振り返る。いつもなら差し込むはずの月明かりも、今日は雨雲に覆われてしまっている。
きっちりと絞めていたYシャツのボタンとネクタイを緩めて、椅子に背中を預ける。天井では切れかかった蛍光灯が点滅している。総務に連絡しなければと、頭の隅で思いながらも、坂牧の思考の大半を占領するのは…。
「約…。」
自分はいつから雨が苦手になったのだろうか…。
自分はいつから空っぽになったのだろうか…。