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□火のない所に煙はたたない
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 空華4人は午前中から任務が入り、太陽が真上に昇る頃ようやく学園へと戻ってきた。授業も終わっている時間だったため、そのまま食堂へと向かった。
 4人揃って歩くと自然と道が開く。生徒たちが道を作っていくのも気にせずに、正面から空華4人の元に歩いて来る影が2つ。

「よっ!せーい君。」
「ん?ああ、お前たちか。安海たちと一緒じゃないのか?」

 珍しいな。と、立ち止まり双子の呼びかけに応じる。

「お、随分タイムリーじゃん。」
「何がだ?」

 今さっきまで任務をこなしていた誓たちにタイムリーも何もなく、案の定4人は何のことか全く分かっていない。そんな空華4人を軽く手招きし廊下の隅に連れてくると、耳を貸せとばかりに円陣を組む。

「今さ、学園内は安海の話題で持ち切りなんだよ。」

 双子は見事なハモリを見せながら、空華に耳打ちする。

「実はな。」
「安海……。」


 休憩時間も放課後も双子の姿を見ないまま、騒がしい一日が終わりを告げ、やっとのことで学生寮へと帰って来た。
 空華と月華のみが生活をしている寮。帰宅中も感じた謎の視線もここに帰ってきてしまえば大丈夫だろうと思っていた。

「今日は散々でしたね、安海。」
「まったくだよ。一体何だって言うの?」

 帰ってすぐ自室に戻り制服から部屋着に着替えると、安海と葵は談話室でリラックスしていた。
 文庫本を手に、広いソファにゆったりと座る葵。その正面、一人掛けのソファに安海が座る。

「葵、本当は何か知ってるんじゃない?」
「知っていると言えば知ってますが、先ずは安海。貴方の方から言う事があるのでは?」
「は?何言ってるの?」

 読んでいた本に栞を挟みテーブルに置くと、安海から何かを聞き出そうと正面から向き合う。聞きたいのはこっちだと、眉間に皺を寄せる安海。美人は怒ると怖いと言うが本当らしい。

「安海。」

 ひと悶着起こりそうな雰囲気に飛び込んできたのは空華リーダー、誓の声だ。

「何?僕、今忙しいんだけど。」
「まぁまぁ、あずみん。そんなに気を張らなくてもいんだよ?」
「は?訳が分からないんだけど。」

 瑞希は安海の両肩に手を置き若干ニヤけながら優しい言葉をかける。頭ひとつ近く高い位置から見下ろされ、余計に苛々してくる。

「あずみん、無理してたんだね。」
「だから、何のことを言ってるの?」

 桃華にまで諭され、思い切り睨みつける。未だ肩に置いてある瑞希の手を勢い任せに払い除けるが、今度は紗良に両方の二の腕を掴まれ真剣な目で見つめられる。
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