二次小説

□再開
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<海の王国>と言われるオディロカナ王国の王子リュ―イが十四歳の誕生日を迎えた翌朝、王国は緑に覆われ、リュ―イ以外の人々は覚めぬ眠りについてしまった。
半年後、王国に<暁の傭兵>が降り立った。
ジェイとリュ―イの冒険の末、オディロカナ王国を緑の呪いから救う。
その後ジェイは故郷カディアに戻り、一年後にまたオディロカナに帰ってくると約束した。
しかし三年が経とうとしても帰ってこないジェイを、リュ―イ自ら探しに出、様々な出来事の末ようやく再開を果たした。 

「それにしてもリュ―イ…」

「なに?」

海の王国の王子リュ―イ・ディジアヌ・ランは、約三年ぶりに再開した<暁の傭兵>、ジェイファン・スーンの端正な顔を見上げる。
カロディアに向う船の甲板で、二人は並んで潮風にあたっている。
二年と少しの間に大分伸びたリュ―イの栗色の髪が風に靡いてサラリと揺れる。
ジェイの竜の血を浴びて金に変色した髪もまた、心地良い風と共に踊る。

「ほんっと背ぇ伸びたなぁ。前はこんなちっこかったのに」

そう言いながら右手を腰のあたりに持っていく。リュ―イは『少女と見まごう』と吟遊詩人に歌われる、愛らしい顔をこれみよがしに顰めてみせる。

「流石にそんなに小さくないよ。十四歳だったんだからこれくらいはあった」

と言って腰のあたりで止まっているジェイの手をとって、グイッと上にあげた。
胸より少し上くらいまで一気に上がると、ジェイは『そうかぁ?』と言って首を傾げる。
リュ―イはさらにムッとして<暁の傭兵>を睨みつけた。とたん、ジェイは吹き出す。

「んな顔しなさんなって。冗談冗談」

久しぶりに会っても、彼の皮肉な笑みは変わっていない。
そのことに何故か安心し、リュ―イはふっと頬を緩めた。ジェイもつられてか、珍しく優しい、穏やかな表情を見せる。
ジェイの手が、スッとリュ―イの髪へと伸びる。別れた時よりも大分伸びた栗色の髪に指を絡め、楽しむように弄ぶ。
リュ―イは僅かに頬を朱に染めて、青灰色の瞳を細める。
その瞳は、海を思わせる青。リュ―イの瞳は気分が高揚した時に青くなり、逆に沈んでいる時は灰に染まる。

「背だけじゃなくて、髪も伸びたのな」

「うん。…変…かな?」

不安気な様子でおずおずと尋ねる。瞳の色が少しだけ、灰に近づいた。
それを見てジェイは苦笑し、絡めていた髪をするっと解いてその手で滑らかな白い頬を包む。
リュ―イの瞳が瞬時に青になる。薔薇の唇は笑みを浮かべ、頬を包み込むジェイの手に、自身の手を重ねた。

「変じゃねぇよ。ますますカワイ子ちゃんだな」

「………褒めてるの?けなしてるの?」

ふっくらとした唇を尖らせ、訝しげにジェイのすみれ色の瞳を見遣る。
ジェイは空いている方の手でリュ―イを抱き寄せて喉の奥でクツクツと笑う。リュ―イも眉間に皺を寄せながらも、そっとジェイの背に手を回した。

「リュ―イ、そんな口尖らせるとなぁ…」

「ん?」

あどけない顔で見上げてくるリュ―イのうなじに手をやり、瑞々しい果実のような唇に、自分のそれを重ねた。
それはほんの一瞬のことで、リュ―イは何が起こったか分からずキョトンとする。

「チュ―すんぞ」

「……………なっ!」

暫くしてようやく何をされたかを理解し、リュ―イの顔が火を噴く。
俯いてジェイの肩にぎゅっと顔を押し付けると、ジェイは面白そうにイヤニヤ笑いながら両腕でしっかりとリュ―イを抱きしめる。

「不意打ちなんて卑怯だ」

肩に顔を押し付けたまま、くぐもった声で抗議する。
だがジェイの表情からは反省の色は全く伺えない。

「卑怯で結構だよ。何とでも言いなさい」

そう言ってリュ―イの背を優しく叩くと、リュ―イはゆっくりと顔を上げた。まだ頬は紅潮している。
それでも青が衰えない瞳を静かに閉じると、それを合図にもう一度唇を重ねた。









end









***
初☆ジェイリュ―小説!
自己満足ですね…。

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