朝起きたら好きな人(神田)が隣で寝ていました。貴方(ラビ)ならどうする?

   選択『きっと夢だ・・寝直す』

 ???なんでここに神田?ここオレの部屋だよな?間違いないよな?うーん?
「オレ、そんなに溜まってんのかなぁ?」
 こんな都合のいいこと、ある訳ねぇよなぁ。まだきっと夢見てるんさぁ・・寝直そう。きっと疲れてるんだ間違いない、うんうん。
 それにしても神田の寝顔見られるなんざ、夢とはいえ幸せだなぁ・・ふあぁ・・ネム・・グー。
「・・って寝てんじゃねぇよ、この馬鹿っ!」
「いひゃい、いひゃい、にゃにふるんさぁ」
 両方の頬を思い切り引っ張られ、目の前にはやはり神田。あれ?夢じゃない?
「こんな据え膳、目の前に差し出してやってるのに、呑気な顔して寝こけやがって!お前、本当にやりたい盛りの青少年か!?」
「そんな・・理不尽な」
 痛む頬を撫でながら、怒る神田をまぁまぁとなだめにかかる。襲って怒られるならともかく、襲わなくて怒られるってのもどうなんだ?
「えー・・と、夢じゃない?」
「もう一度、頬つねってやろうか?」
 居丈高に彼は言う。
「と、すると・・本物?」
 小首を傾げると彼はため息を吐きつつ、ようやく目が覚めたみたいだなと、怒ったように言った。
「なんでユウがここにいるさぁ?ここオレの部屋だろ?」
「居て何が悪い。わざわざ来てやったんじゃねぇか、もっと喜べよ」
「本当に夢じゃねぇの?」
 神田の額に青筋が浮かぶ。でもさっ、でもこれってオレに都合良すぎじゃねぇ?現実にしては上手く行き過ぎって言うか・・・押し倒したら全部夢でしたってオチじゃ寂しいじゃねぇか。
「夢か現実か、その体で分からせてやろうか?」
「体って・・痛いのは嫌だなぁ」
 また頬でもつねられるかと思ったら、神田にのしかかられるように押し倒された。体って・・そういう意味?ってか、もしかしてオレ受?うわぁ、やばい、とじたばたしている間にも服を剥がれ、神田の白くて細い指が胸元を這うように滑っていく。
 やばい、オレ!どうするっオレ!?神田の事は好きだ、大好きだけど、それとこれとは別問題だ。うわぁ、そんな所触られたらっっ・・気持ち良いじゃねぇか、ちくしょう。
 見ると、オレに跨るように乗っている神田の姿が、これまた鼻血モノでクラクラする。日本の『ユカタ』という物らしいが、神田御愛用のその寝巻きは、中途半端に着乱れると、下手に裸よりも余程色っぽい。今も裾からこぼれる太ももがあまりにもオレを誘うので、つい手を伸ばして撫で上げてしまった。
 瞬間、ピクンと神田の背がのけぞる、そのまま細い腰を掴んで引き寄せた。
「ようやく、やる気になったかよ」
「ここまでされて、やる気にならねぇなんざ、男じゃねぇだろ」
 だろうなと笑って、神田はキスをくれる。その間にもせわしなく裾をめくり上げ、その肌にじかに触れると、下着などという無粋な物は着けていないようで、指は直接彼の性器に触れた。
「なんだよ、やる気満々?何かあったか、ユウ?」
「別に・・・」
 ふぅーん、そう、とオレは彼のモノを撫でるようにやんわりと握りこんだ。それにしたってこの夜這い、いつもの神田なら死んだってしねぇと思うけどな。
「それより・・早く」
 挿れて・・と耳元で囁かれて全身が総毛だった。このさい理由なんてどうでもいいや・・オレって現金。たまらず指で慣らすのもそこそこに、オレは己を神田の中にねじり込んだ。あーやべぇ、痛かったかも?
「大丈夫か?」
「ん・・平気」
 それでも彼の表情は苦しそうなので、やはり痛いのではないかと思う。なんか今日の神田、無理してる気がするんだよなぁ・・
「な・・んだ?早く、動けよ」
「そう焦らすなって・・」
 体勢を入れ替え、彼を組み敷くと切ない吐息が耳を掠めた。腰にくるその声に、いかんいかんと己を保つ。長い黒髪が白いシーツの上に広がって、一層彼の肌の白さを際立たせた。
 片足を担ぐようにして、ゆっくりと腰を突き上げると、神田は声をかみ殺すように己の指に歯を立てた。
「馬っ鹿、痕になるだろ、せっかく綺麗な指なのにさ」
「そんな言葉・・はぁ、今まで何人の女に・・吐いてきた。いらねぇんだよ、そんな言葉はっ」
「・・・なんか、怒ってる?」
「自分の胸に手ぇ当てて・・よーーーく考えてみろ」
 なんだろ・・・?心当たりが多すぎて何に怒ってるのかさっぱり分かんねぇ。
 この間神田の蕎麦喰っちまった事かな?それとも六幻をおもちゃの刀とすり替えた事か?アレは傑作だったな・・刀を抜いたら花が出てきてさ、こいつのポカーンとした顔がまた可愛くて・・・
「何を笑ってやがる」
「いてっ・・噛むなよ、お前は野生動物か」
 首の付け根辺りに思い切り噛み付かれた。いってー、コレ絶対歯型ついてるぞ。
 お返しとばかりに、少し激しめに腰を突き立てると、神田はぎゅっとオレの首にしがみついてきた。
「もっと・・俺を、欲しがれ、ラビ・・っあぁ」
「そんな事、言われても・・」
 いちいちオレに付き合ってたら、お前壊れちまうぜ?お前相手だと本当制御利かなくてさ・・
「・・他の・女・・抱くくらいならっ・・・壊れるまで・俺を抱けばいい」
「あ・・・」
 やべぇ、それか!どっからバレた?ってか、やきもち?やきもちなのかっコレは!?
「可愛すぎっ、ユウ、愛してる」
「誤魔化してんじゃ・・ねぇよ。っあ、この・・・浮気者っっ!!」
「だって、少しくらい抜いとかねぇと、所構わずお前の事襲っちまいそうでさ・・」
「お前は・・俺のだろっ!俺以外の奴なんか・・見てんじゃねぇよ」
 直球だ、すげーキた。いつも嫌がるばっかりのクセに、この独占欲、たまんねぇ。
「お前は、俺のだっ!」
「ユウ最高、大好き」
 言ってオレは神田を激しく攻め立てた。自制なんかクソ食らえ。ああ、遠慮なんかして損したぜ。
 それにしても、本当にやきもちひとつでも神田は可愛らしいと思ってしまうあたり、オレもずいぶん彼にいかれていると思う。
 結局その日、オレ達は陽が高くなるまで抱き合ってしまい、終わった頃には神田は自分の言った事に後悔しきりという顔をしていたが、これは当分、もしかしたら一生?こいつの事は手離せねぇな、とオレは思っていた。

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