ユリウス×ルル
□雪の日
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その日は朝はすごく普通に、いつも通りに晴れていた。
晴れていたんだけど・・・
「ねぇ、アミィ。なんだか急にすごく寒くなった気がしない?」
「えぇ、私もそう思うわ・・・急にどうしたのかしら・・・」
私は調度授業が同じだったから、
たまたま一緒にいたアミィと顔を見合わせた。
「でも、とりあえず・・・寒すぎるから、もう少し暖かい場所へ行きたいかも!」
「そうね。今日は私もルルももう終わりだし、早めに寮に戻りましょうか。」
「うんうん!今日は暖かくして寝ようね!!」
そんな会話をしながら、廊下を歩いていたんだけど・・・
中庭に一人立っているユリウスを見つけた。
あんなところにいて寒くないのかな・・・とか気になって、チラチラ私が見ていると、
それに気づいたアミィは私に言ってくれた。
「ルル、行っていいのよ。ユリウスさんも寒いはずだもの。一緒に寮まで帰ったら?」
「え?でも、アミィは?アミィはどうするの?」
「私は少し調べたいことがあったのを思い出したの。大丈夫、私も急いでかえるわ。」
・・・調べ物なんてきっと嘘で、私に気を使ってくれたんだと思う。
でも、ユリウスが気になっていたのは本当だったから、アミィの好意に甘えさせてもらおうと思った。
「本当?じゃぁ・・・また後でね!!ありがとう!アミィ!!」
そういって、私はユリウスのところへ駆けて行った。
ユリウスは空を見上げたまま、ずっとブツブツつぶやいている。
この様子からすると・・・この急激な寒さ、魔法が関係してるのかな?
「えっと・・・ユリウス?」
「え!?あ、ルル!!いつからここに!?ごめん、全然気付いてなかった・・・」
「ううん!今来たところなんだけど・・・えっと・・・何してるの?」
とりあえず、1番の疑問をぶつけてみた。
「ルルもおかしいと思わない?さっきまで、あんなに晴れて、快適な気候だったラティウムが、どうしてこんなに急に寒くなったのか。」
「うん、おかしいと思うわ。これって、魔法のせいなの?」
「それはまだ分からないけど、でも、気候がこんな状態になる国は、世界中にはいくつかあるんだ。関係があるかどうかは分からないけど、少なくとも俺がここに来てからこんなことになったことは1度も無かったし、魔法のせいだとしてもラティウム全体に影響を及ぼすなんて、そんなにできることじゃ無いと思うし・・・でも魔法の力で保たれているラティウムの気候が変わるってことはやっぱり魔法のせいだってことなのかな。でも・・・」
「ちょっと待って!!落ち着いて!ユリウス!!」
「ん?何??どうかした?」
すっかり暴走モードに入ってしまったユリウスを何とか引き戻す。
さすがにここでは風邪をひいてしまうと思うの!
「この状況に対する考えなら後でゆっくり聞くから!!まずは寮に帰りましょう?ここは寒いもの・・・」
「俺は別に平気だけど・・・そうだ、じゃぁ・・・」
そう言ってユリウスは・・・
ギュッと私を後ろから抱くように包み込んだ。
「!?ユリウス!?」
「ほら、これで寒くないよね?」
「たしかに寒くは無いけど!!これはこれで問題あると思うの!!今は2人きりってわけじゃないんだし!!」
寒くは無いけど、いろんな子の視線を感じて、
恥ずかしくて・・・もう熱いくらい!!
「大丈夫、大丈夫。」
「全然大丈夫じゃないっ・・・わ?」
その時、空から、何か、白くてフワフワしたモノが降ってきた。
私には意味が分からなかったけれど、ユリウスは何か知っていたみたいで。
「ああ。やっぱり。」
「?ユリウスはこれが何か知っているの?」
「これはね、『雪』って言うんだよ。ラティウムでは珍しいけど、もっと寒い国とかでは積もったりするんだって。」
「へぇ・・・白くてフワフワで、すごく綺麗!!」
「たくさん積もったら、ウサギとか、だるまとかも作れるらしいよ。」
「そうなの!?いつか作ってみたいかも・・・」
「ははっ。そうだね。いつか二人で雪がもっと降る国に遊びに行こうか。」
「うんうん!!楽しみだわ!!」
そのまましばらく寒い中で2人で雪を見ていたんだけど、
全然寒さは感じなかった。