*薄桜鬼*

□苦くて甘い愛を君に
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私は今、大急ぎで下校している最中。

もちろん一人で。

どうして一人なのかと言うと、今日が2月14日だから。

本当はもっと良い日になるはずだったんだけど…
私はとにかく早く家にたどり着こうと、かなり本気で走っているーー

そのとき、背後から声をかけられた。


「千鶴ちゃん。」


ーー・・あぁ、間にあわなかった。


「…沖田先輩。」


声の主は、私の恋人である沖田総司先輩、その人だ。


「君、何か僕に言うことない?」

「…今日も寒いですね。」

「そういうことじゃありません。…どうして僕から逃げようとするのかな?」

「逃げようだなんてーー・・」

「ほら、また。ダメだよ。逃がしてあげないよ。君が僕が納得できる理由を話してくれるまでは。」


そうして、私の手を握って歩き出してしまった。
これで本当にもう逃げられない。


「…特に理由はありません。」

「なら、どうして手を解こうとしてるのなな?」


それは今日が2月14日ーーバレンタインの日だからです。


「それに、朝は会えなかったから、放課後に君に会うのを楽しみにしてた僕を放置して帰っちゃうなんて、酷くない?」
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