エスト×ルル
□誰にでもスキだらけ
1ページ/5ページ
その時あの人を見つけたのは、ただの偶然だった。
ルル、と声をかけようかと思ったけれど、傍らにアルバロがいるのを見て、余計に係わって何か言われるのは面倒だと思い、
そのまま背を向けて歩きだそうとした。
しかし、僕は見てしまったのだ。
アルバロがあの人の唇にキスをしたのを。
「何するのよアルバロ!」
「いやぁ、何だかルルちゃんにキスしてみたい気分だったんだよね。」
「何よそれ!?意味が分からないわ!!」
そんな会話が聞こえて…僕は我にかえった。
そして逃げるように背を向けて歩き始める。
何なんだ、今のは。
アルバロもアルバロだが、ルルもルルだ。
いきなり恋人でも無い人からキスされたら、もっと怒るものではないか。
それとも、あの人の中ではそこまで重要なことではないのか。
僕はあの人の…恋人、なのに。