スキア(キルア)とルス(ゴン)とシュネー

□No.1
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この話は現実ではない


しかし、現実でもある


なぜならこの話は異次元で起きたことなのだから・・・・








その朝、私の声は封じられた





見知らぬ異次元の人間によって





その異次元人は私の肩を抱き何かを呟いた





呟きに答えるようにその人間の体が輝き・・・





起きたばかりだった私はまた深い眠りについた














ここは・・・?


軽くめまいがする


薄く開けた目にはまぶしい光が入ってきた


「!」


反射的に閉じた目の上に何かがのった


温かい、人間の手・・・


光を警戒しながら目を開けると私の目には銀色が映った


信じられず、瞬きを繰り返す


しかし、何度見てもそれは綺麗な銀髪だった


癖のある猫っ毛だ


「お、気付いたか?」


キンと透き通った声がした


その銀髪の持ち主のようだ


「・・・」


静かに起き上がると私はまだパジャマを着ていた


身体を起こすと、また目の前が暗くなった


知識から推測するに、貧血状態というものだろう


「あんま、無理すんなよ?」


先ほどの声がまた頭上から降ってきた


目を手で被いながら顔を上げるとそこには同い年ぐらいの男の子が居た


誰?ここは・・・どこ?


私は確かにそのように口を動かした


しかし・・・私の耳には言葉が届かなかった


「いま、なんか言ったか?」


男の子も怪訝な顔をしてこちらを見やる


耳が聞こえないわけではない


声が・・・でないのだ


私は呆然と宙を見つめた


やや斜めにうつむいた顔の前で白い手が振られる


「大丈夫か?」


白い手のほうを向くと銀髪の男の子は私に問い掛けた


喉に手をやり、声が出ないことを示す


すると男の子は目を見開いた


事情を理解してもらえたようだ


急に立ち上がった男の子は数秒後、手に持った紙とペンを私に差し出した


「字、書けるよな?」


赤子でもないのに字が書けないわけない


薄く怒りを見せながら私は一度頷いて見せた


差し出されたペンを手に持ち、貰った紙に疑問を書いた


よく見ると紙は今まで見てきたものとは異なり、すべすべだが、毛皮の様に逆なでするとおかしな感覚がする


疑問を書いた紙を男の子に手渡した


文字を書けということは彼は読めるということ


そして、話す言葉からして彼は日本人である


当然、すらすらと読み、疑問に答えてくれると思った


ところが・・・


紙を見た男の子は、眉をひそめた


「これ・・・何語だよ・・・?」


小さく呟く


そんなばかな


日本人で日本語が読めないのか


それとも私が変な字でも書いたのか?


自分が書いた文字を確認するため、身を乗り出す


紙にはちゃんと見慣れた日本語が書かれていた
 

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