スキア(キルア)とルス(ゴン)とシュネー

□No.3
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「・・・」


ルスとスキアは黙って顔を見合わせた


単純な言葉だったため、スキアも難なく読み取れたようだ


「ここがどこだか・・・分からないの?」


確認するかのように聞き返すルスに頷いて見せた


「待て、その前にお前どこからきたんだ?ここがどこだか分からなくてもそれはわかるだろ?」


私がある場所を言うと二人は揃いも揃って顔をしかめた


読み取れなかったのかともう一回口を動かすが、二人とも不思議そうな顔を変えない


「俺・・・そんな名前の国知らない・・・」


ルスは呆然と呟いた


「俺もないぜ・・・」


二人の話を聞くと、ここはシャーロスチ大陸のメンチラというとこらしい


聞いたことのない大陸だ・・・


私は思わず泣き出してしまった


来たことのないところ、使えない口、見知らぬ人々・・・


まるで未知のバブルに囲まれたみたいに


私の心には不安が巣食っていた


「じゃあ・・・帰るとこないんだよね?」


ルスは私の気持ちとは裏腹に嬉しそうに聞いた


その通りだとゆっくりと頷くとルスは今まで以上に顔を輝かせた


「じゃあ、俺たちと一緒に行こうよ!もしかしたらシュネーの住んでたところに戻れるかもしれないよ?」


「おい、何言ってんだよ!?どこに行くかも決めてないのに誘っていいのかよ?それに・・・女だぞ?」


そういったスキアの顔は赤くなっていた


「じゃあ、スキアはシュネーを捨てておいていいの!?」


「見知らぬやつを介抱してやったんだ!それで充分だろ!?」


「場所もわかんないのにほっとけるわけないでしょ!」


ギャーギャーと言い合いをする二人を私はオロオロ見ていることしか出来なかった


「ゴメン・・・」


言い合いに負けてしまったルスは頭を垂れて私に謝った


別にルスは悪くない


悪いのは何故だか分からないがここに来てしまった私


懸命に首を振って否定した


「ほんとゴメンね!」


ルスはそう言うと涙を浮かべて部屋を出て行ってしまった


仕方なく立ち上がり、建物を出るとそこは大通りだった


たくさんの人がたくさんの自転車がたくさんの車が・・・


その道で蟻のように群がっていた


パジャマ姿のシュネーを道行く人はじろじろと眺めていく


恥ずかしくなり、ビルとビルの間を見つけて入り込んだ


薄暗がりに寒さが酷い


身を縮め座り込んだ


拍子にパジャマの第一ボタンが外れてしまった


私のパジャマはお母さんが買ってきたもので、サイズがでかいのだ


胸元を合わせ頭を埋めた時、路地に人が入ってきた


「おい、見ろよ?あれ女じゃねーか?」


私はその声に顔を上げた


見ると、チャラい感じの25才ぐらいの男


周りにはそれより少し若い男達がいた


「ほんとっすね〜!しかもこれパジャマじゃないですか?」


若い側近らしき男は私の腕の布を引っ張った


思わず目を瞑ると・・・・・


ガコッ!ガラガラッ・・・


路地に嫌な音が響いた
 

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