スキア(キルア)とルス(ゴン)とシュネー

□No.4
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横を見やると側近らしき若年の男は顔に手を当て、呆然としていた


「俺の獲物だ・・・」


リーダーと見られるシュネーに最初に気付いた男は冷たく側近をにらんだ


「ず・・・ズビバゼン・・・」


泣きながら男は呟いたが、リーダーはそれを見ずにシュネーに近寄った


声をあげようと通常どおり口を開け、出せないことを思い出した


「〜〜!」


こないで!


体全体でその意思を伝えるべく手を振りかざす


「お?なんだ?」


構えた手を軽く振り払うとあごを掴み体を持ち上げ、立たせた


その間もパクパクと口を動かし読み取ってもらおうと頑張る


「へぇ〜お前口が聞けないのか!ん?」


舐めるように私を見る男は周囲の男たちに周りを囲むよう合図した


きっとリンチみたいなんが始まるんだ!


そう思い込み目を固く閉じた


リーダーの手がシュネーに再度触れそうになった瞬間


「おい!」


聞き覚えのある声が聞こえた


「あ?」


けんか腰で振り向いた男はそのまま次の言葉が言えなかった


雷に当たって失神したからだ


「お前ら!さっさとそいつ持ってどっか消えな」


シュネーを助けた声はそういうとシュネーの頬に手を当てた


「何してんだよ、お前」


目を開け上を見るとそこにはスキアがいた


助かった・・・


ずるずるっと背中を擦りシュネーは座り込んでしまった


「おい?大丈夫か?」


なんで?


ひとつ頷いた後、口を動かして聞いてみた


「ルスのやつが・・・見捨てるなんてひどいとかいろいろ言うもんだから・・・」


モゴモゴいうスキアを見ていると自然と笑いが浮かんだ


どう見たって嘘だ


「な!シュネー何笑ってんだよ!言っとくけどほんとだかんな!」


顔を真っ赤にして言うスキアはなんだかかわいかった


「ほら、行くぞ!」


この言葉には真面目に首をかしげて見せた


どこに行くの?


「戻るんだよ!ルスにネチネチ言われるのはまっぴらだし」


すねた感じで言ったスキアは私に大きくて繊細な手を差し出した


「いくとこ、ないんだろ?」


戸惑う私に照れ笑いを浮かべながら確認する


私は軽く笑顔を浮かべてスキアの手を取った


ぐいっと引っ張られ足が立つ


瞬間、寒さで固まった足が傾いた


「・・・ゴメン」


スキアは私が女だということに警戒してるらしい


支えるために肩に触れた


ただそれだけなのにあわてて謝った


どれだけ怖いお母さんに育てられたのだろうか・・・


女に恐怖を抱いてるということは女だらけの環境で育ったとか?


そんなことを考えているうち私は知らぬ間に泣いていた


今頃お母さんたちはどうしてるだろう
 

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