学園BASARA
□パズル
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目を開けて見えたのは真っ白い天井。
他に何かないかと思ってあたりを見渡してみようとしたけど、なぜか体が動かなかった。
「名前…っ!!」
どこか遠くで、誰かが誰かを呼んでいる気がした。
* * *
毎朝起きるたび、ここはどこなんだろうと思う。
でも、巻きつけられた包帯や鼻を抜けていく薬のツンとした匂いが、すぐ私に思い出させる。
ここは「病院」だ。
私がここにいるのは、怪我をしたから。
じゃあどうして…私は怪我をしたんだろう。
『…分からない…。』
今日もまた、私は欠けた記憶に想いを馳せる。
* * *
佐助side
「あら佐助くん、おはよう!」
「おっ!どうも〜」
登校中、最近よく行く花屋のおばちゃんに声をかけられた。
「今日はガーベラ入荷したよ!この前探してたでしょ?」
「マジっすか、サンキューおばちゃん♪」
「いいのよ!……彼女の具合、どう?」
少しためらいがちに問われれば、
「…変わらないっすね〜、ははっ」
俺は苦笑いすることしかできない。
彼女…名前は、今入院中だ。
しかも怪我をしただけじゃない。
もっと俺が早く名前の苦しみに気付いてやれたなら……こんなことにはならなかったんだろうか。