べるぜバブ

□この猛獣を何とかして下さい
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『禅さぁぁん!!』


ドスッ!



ヒョイッ


「…先生って呼べっつったろ、くそったれ」


『あぁっ私今禅さんに持ち上げられてる!しかも片手で!きゃはっ』


「おいおい…」




最近、妙な小動物に懐かれている。

いや、正確に言えば見た目は小動物で実際は――


ドゴッ!



「うおっ」


『もー禅さんったら反応薄ーい!そこがまたグッときますぅぅ!』


「……(痛ぇ…。なんて力だ)」




そう、彼女は



「この猛獣娘が。何の用だ、生徒は屋上立ち入り禁止だぞ」


『えー!』




S級の猛獣……。

しかも、やること言うこと全てが無茶苦茶だ。

正直、手に余る。


男鹿や虎ならコブシで勝負つけられるんだがな…

まさか、女子生徒に手は上げられない。


そして、




『好きですよ』


「………」




手を付けることも、できやしねぇ。

教師として。


曲がりなりにも教師である俺は、こいつに手出しできないのだ。

どちらの意味にしても。



だから俺は答えを出さない、探さない。

気を紛らわすタバコもこれで5本目だ。




『禅さん…、体に悪いですよ〜』


「…ほっとけ」


『………』




沈黙が続く。

放課後の空は暗くなり始めた。


沈黙を破ったのは、隣の小動物。



『…卒業したら、とか。言ってくれないんですね?』



俺は、ただ空を見つめた。




『て、定番じゃないですかぁ!それで私が
えっ///って顔赤らめて、禅さんが無造作に合鍵投げてくれるんですよ〜!』


「……ドラマの見すぎだろ」


『ははっ、ですよね〜』





空笑いが虚しい。

やること言うこと無茶苦茶のくせに、

こいつは一定以上先には踏み込んでこない。

いつも、ストッパーをかける。


…イラつく。

俺をおちょくってんのか、くそったれ。


それなら。

俺がそのストッパーってヤツを外せば、お前もどうにかなんだろ?

俺で遊んだつもりになっているなら、今度は俺が遊ぶ番だ。

大人をナメるなよ。
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