Axel Cafe

□Axel Cafe
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Axel Cafe









私達はしばらく歩いた。森川さんは歩くスピードが私より早いので、追いつけなかった。


『森川さんっ…待って下さいよぉ…』

森川「ごめんごめん。ちょっと早過ぎたかな?」

『ちょっと早いです…。』

森川「大丈夫?あ、そうだ。君の名前、何て言うの?」


私は顔の汗を手のひらで拭い、名前を言った。


『如月 沙紀です…。』

森川「如月 沙紀か。いい名前だね!呼びやすいし!」


森川さんは笑って言った。全然嫌みに聞こえなかった。呼びやすいと言われたのは初めてだった。


森川「あ、ここだよ!"Axel Cafe"!」

『ここが"Axel Cafe"……周りに緑があって、いい感じですね!』

森川「本当の事言うと、レストランがしたかったんだ。」

『出来なかったんですか?』

森川「うん…この土地には向いてないかなって…それに、ここは人通り少ないからね。」


少し俯き加減で言う森川さん。どこか悲しそうだ。


森川「あと…」

『?』

森川「名前的な問題もあるんだ。」

『ふぇ?』


私は思わず間抜けな声が出た。それでも、森川さんは真剣な顔をして私を見る。


森川「アクセルレストランってどうだろうか…」

『アクセルは外せないんですね、わかります。』

森川「なんかしっくり来ないんだよね。だから、喫茶店にしたんだ。」

『なるほど。そうだったのですね。』


知らない間に納得している私が居た。森川さんは自分の唇に人差し指を当てた。


森川「ま、この話は沙紀にしかしてないから、誰にも言わないで?」

『ぅぐっ!(鼻血我慢)絶対に言いませんっ!』

森川「言ったら、どうなるか…沙紀ならわかるよね?」

『わっ…わかります…』

森川「じゃあ、入るよ。」


中に入ると、目の前はカウンターになっていた。奥にキッチンがあり、入口の右にはレジが置いていた。


森川「どうかな?」

『とてもいい雰囲気です!』


すると、一人の男性がキッチンから出てきた。


「いらっしゃいませー。…あ、森川社長!お疲れ様です!」

森川「ありがとう。この子がスカウトした子だよ。」

「僕は関 俊彦です。よろしくお願いします。」

『如月 沙紀です…。よろしくお願いします。』


軽く握手をすると、関さんは微笑んだ。


関「森川社長、いつもの席ですね?」

森川「もちろん!あ、そうだ!店長居る?居るなら呼んで。」

関「…裏で食パン食べてますよ。」

森川「いいよ…全く、仕方ない奴だな。あと、コーヒー2つね。」

関「はい。」


関さんは裏に行った。すると、なんか爽やかそうな人が入って来た。


「おはようございます!」

森川「ん?…あぁ。結城君か。おはよう。」

結城「森川社長、おはようございます!そちらの方は?」

『あっ…私は如月 沙紀です。よろしくお願いします…。』

森川「俺がスカウトしてきた子なんだ。明日からここで働いてもらう事になった。」

結城「そうなんですか!僕は結城 比呂です!」

「あ、社長ー!おはようございますー。」


正面を向くと、やる気のなさそうな感じの人が食パンを食べていた。


「この子がスカウトした子ですか?」

森川「そうだよ。それより…店長、コーヒー2つって言ったよね?(黒笑)食パン食べてる場合じゃないよ?(黒笑)」


も、森川さんが黒いっ…!黒笑の二乗だぁ…(ガクブル)


「あ、すいません。はい、コーヒー2つね。」

『ありがとうございます。(早っ!てか、熱くないし!)』

森川「店長、この子、如月 沙紀って言うから。」

「俺は杉田 智和。ここの店長してまーす。よろしくー。」

『よろしくお願いします…。(この人が店長か…意外だなぁ…。)』

杉田「で、沙紀は明日から働くの?」

『はい。(いきなり名前で呼ばれた…そういえば、森川さんもそうだったな…。)』


杉田さんは目を閉じ、腕を組んで
何か考えている。食パンをもぐもぐしながらw
ごくっと飲み込むと、目を開いた。


杉田「指導係は、関さんで!社長、問題ないですか?」

森川「俺も関さんがいいと思うんだ。よく働くし、丁寧だからね。」

杉田「関さん、沙紀の事頼みます。」

関「はいっ!よき人材にしてみせます!」

『関さん、明日からよろしくお願いします!』

関「こちらこそよろしく。」

森川「じゃあ沙紀を送って行くから。」

関「はい…。森川社長、如月さん、お気をつけて。」
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