shortA
□Merry Christmas!
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※longA『私と彼の婚約日誌』のその後の話です(short@『私と彼の新婚日誌』とも繋がりあり)4才の息子が居る設定です。
────シャンシャンとどこからともなく鈴の音が聞こえてきそうな聖なるクリスマスの夜。
「エイジさん、エイタ寝たわよ」
私はエイタを寝かせつけた後、仕事部屋へと戻りエイジさんに合図をした。
「お、ラジャーです!」
エイジさんはスチャッと敬礼をして椅子から立ち上がると、そそくさと赤いサンタクロースの衣装に着替えてエイタの為に用意したクリスマスプレゼントを私の手から大切そうに受け取った。
「じゃ、行ってくるです!なんかワクワクしまーす!///」
「エイジさん、しー!エイタが起きちゃう」
そうだったですΣ、エイジさんはバッと口を抑え気を取り直し、長い廊下を歩き寝室に向かった。
「バレないように、そうっとよエイジさん」
「わかってるです」
エイジさんは深呼吸をした後、寝室の扉をそうっと開いた。
暗い寝室に廊下から伸びる一筋の光が、ぼうっと差し込む。
私達が眠るダブルベッドの横にはジュニアベッドがあり、そこにはエイジさんと私の世界一の宝物がすうすうと可愛らしい寝息をたてて眠っている。
そーっと、そうっと、サンタの格好をしたエイジさんは忍び足で、エイタの眠るベッドに近付きプレゼントを枕元に置いた。
無事に置き終わり任務を終えたエイジさんサンタは、私にニッとピースをしてこちらに踵を返そうとしたその時───
「ん……しゃんたしゃん……?」
「っ!?Σ」
突然むくっと起き上がったエイタに私は、バレたっ!?と焦っていると、
「メ、メリークリスマス……υ」
「しゃんた……しゃん……」
寝ぼけていたのかエイタはまた、こてんとベッドに横になり、すうすうと寝息をたて始め、私達はホッと胸を撫で下ろした。
パタンと静かに寝室の扉を閉めるエイジさんに私は、お疲れ様///パパ、と労いの声を掛けた。
「念の為サンタの格好しててよかったわね」
「ホントですυでもドキドキスリルが味わえてなんだか楽しかったです///」
何でも楽しめちゃうエイジさんに私は、くすりと微笑んだ。
「何か温かいもの飲む?」
「じゃあココアがいいです」
了解です///、エイジさんの真似をしてビシッと敬礼を決め、キッチンの方へ歩みを進めようとすると、するりと右手にエイジさんの左手が繋がれ私はハッとして振り返った。
「…エイタはいつまでサンタを信じてくれますかね…愛子はいつまで信じてたです?」
「ん?…んー…多分小学生くらいかな?たまたま目が覚めた時に枕元にプレゼント置いてる親を目撃しちゃって///それからサンタは本当は親だったんだって子供なりに解釈したのを覚えてる。エイジさんは?」
私はエイジさんにも訊き返すと、僕も同じです///とふわりと笑った。
「……いつかはエイタも、枕元のプレゼントが本当は私達からのプレゼントだったと気付く時が来るのだろうけれど…サンタなんて本当はこの世にたくさん居ると思う」
はい?、エイジさんが首を傾げて私を見下ろしている。
「自分の事を心から大切に想ってくれる人。それは友達だったり、恋人だったり…」
「夫婦だったり…ですよね///」
…うん///、繋いだ手にギュッと力が入る。
「反対に大切な人を喜ばせたいって想いがあれば…自分自身だってサンタになれるですよ」
そう、だね…///、エイジさんの優しい眼差しと焦点が合わさる。
お互いにゆっくりと瞳を閉じれば必然と近づく唇に、すべての祈りを重ねて───
チュ、と触れるだけの口付けに、揺るぎない愛を見詰めて……
「メリークリスマス…愛子///」
「メリークリスマス……私のサンタさん///」
此処にエイジさんが居る、私が居る。そしてかけがえの無い愛しい愛しいエイタが生まれた…。それは奇跡の奇跡。
「エイジさん、そう言えばね、エイタが玩具の他にもう一つクリスマスプレゼントにリクエストしてたもの何か知ってる?」
「まだ何かあったです?初耳です」
「……あのね……」
私は少し背伸びをしてエイジさんの耳許に小さく囁いた。
「……妹か弟が欲しいって///」
「!!///」
そして、これからも奇跡はまだ続く────シャンシャンシャン……
それは、どこからともなく幸せの鈴の音が聞こえる、とある聖なる一夜の奇跡。
Merry Christmas!*゜.:。+゜
─END─
2012.12.24up
(write 2012.12.23)